プレビュー:英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2024/25 映画『シンデレラ』2月21日(金)~2/27(木) TOHOシネマズ 日本橋 ほか1週間限定公開

リバイバル版早くも再演

クリスマス時期に上演された『シンデレラ』

2024年12月に、英国ロイヤル・バレエ団は『くるみ割り人形』ではなく『シンデレラ』を上演しました。
フレデリック・アシュトン振付の『シンデレラ』はシンデレラの意地悪な姉二人を男性が演じることが特徴で、1948年に初演され、英国ロイヤル・バレエ団の代表的な作品として広く親しまれてきました。
初演75年を記念して2022年には、舞台装置や衣裳が一新され、新プロダクションとして上演されたのでした。その再演が早くも実現。今回はクリスマスの時期におとぎ話の頂点のような夢いっぱい、幸せあふれる舞台が上演されたのです。
永遠に踊り継がれる作品


新プロダクションでは、舞台美術は舞台版『となりのトトロ』で2023年ローレンス・オリヴィエ舞台デザイン賞を受賞したトム・パイが手がけています。プロジェクション・マッピングをさりげなく使用し、シンデレラが変身し舞踏会へ出かける第1幕最後はとてもファンタジックです。他にも宮殿での舞踏会を野外のガーデンパーティにし、違和感なく妖精と人間とが同じ空間に存在しています。また、衣裳デザインは6度のアカデミー賞衣裳デザイン賞にノミネートされ、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』でオスカーを手にしたアレクサンドラ・バーンが担当しています。彼女は、このおとぎ話の年代を特定したくないということで時代が確定できない、だからこそどの時代といっても通用する普遍性のある衣裳を作り出しました。妖精の登場の際にともに登場する子どもたちの衣裳も大変かわいらしく、夢の世界のイメージが膨らみます。
これから何十年も踊り継がれるであろう時間の重みを十分意識した舞台作りに圧倒されます。
シンデレラは金子扶生!


©2023 Tristram Kenton
2022年には仙女で登場した金子扶生が、今回はシンデレラとして舞台に立ちます。シンデレラの可憐さ、健気さ、芯の強さを、次々と繰り出す素晴らしいステップで表現。プリンシパルらしい堂々とした佇まいは圧巻です。カンパニーを代表するまでに登りつめた金子の唯一無二のシンデレラを見られるのは幸せなことですね。
王子役は1月に上映した『不思議の国のアリス』で庭師ジャック/ハートのジャックを演じたプリンシパルのウィリアム・ブレイスウェルが踊ります。彼は今年来日する英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団にも出演しますので、事前チェックには最適です。ノーブルで丁寧な踊りは王子にピッタリ。シンデレラと王子が静止して見つめ合うシーンが結構あるのですが、とても美しくてまさにおとぎ話そのものです。
五十嵐大地は道化役で登場、難易度の高いステップやジャンプなどをキレ良く演じています。他に夏の精で佐々木万璃子が登場しており、日本人ダンサーの見どころも満載です。
おとぎ話のバレエなら随一の英国ロイヤル・バレエ団による正統派の『シンデレラ』で、幸せな気持ちになってください。


画像:メイン他 ©2023 ROH. Photographed by Andrej Uspenski
英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2024/25
映画『シンデレラ』2/21(金)~2/27(木) TOHOシネマズ 日本橋 ほか1週間限定公開
開演
各劇場による
チケット料金
一般・シニア 3,700円
学生・小人 2,500円
詳しくは:東宝東和
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