プレビュー：２０２４年2月23日(金・祝)~25日(日)新国立劇場バレエ『ホフマン物語』新国立劇場

2024.02.14おすすめバレエ

2024年2月23日(金・祝)〜25日(日)
新国立劇場バレエ

『ホフマン物語』

オペラで人気の高い作品をバレエで描く

男性が主役の物語バレエ時空を超えた
女性たちとの出会いをバレエで

オッフェンバック作曲のフランスのオペラ『ホフマン物語』は、独特の世界観で人気の高い作品です。これをバレエ作品にしたのが2月23日より上演されるピーター・ダレル振付・台本のバレエ『ホフマン物語』です。

オペラをもとにしたバレエ作品は、『オネーギン』『マノン』『カルメン』『椿姫』等、たくさんあります。原作があるので文学的、また演劇的要素の強い物語バレエとしていずれもとても人気があります。

E.T.A.ホフマンのいくつかの作品をモチーフとして構成されている『ホフマン物語』は、自動人形やドッペルゲンガーなどが出てくるSFチックでもありファンタジックでもある不思議なお話です。バレエでもオペラと同様、詩人のホフマンを主人公とし、彼の青年時代から初老までに出会った魅力的な女性とのエピソードが描かれます。難役であるホフマンは、福岡雄大、井澤駿、奥村康祐が務めます。

ホフマンが出会う魅力的な登場人物たち

プロローグとエピローグにはオペラ歌手のラ・ステラ、第１幕は自動人形オリンピア、第２幕はピアノ教師の娘で心臓の弱いアントニア、第３幕は高級娼婦ジュリエッタ、と個性豊かな女性が登場します。さらに第１幕では人形師スパランザーニ、第２幕はミラクル医師、第３幕はダーパテュートという人物で悪魔が登場しホフマンの恋愛を翻弄します。

各幕ガラリと雰囲気は変わり、登場する女性たちは高い表現力が求められる超絶技巧を繰り広げます。それぞれプリンシパル級のダンサーがキャスティングされており、鑑賞者にはたまらない見比べる楽しみがあります。

また、ホフマンのそれぞれの女性との恋愛感情の表現も見どころです。

印象に残るオッフェンバックの音楽

オペラ作品をもとにした物語バレエでは、音楽が必ずしもオペラの音楽を使用するとは限りません。ジョン・ノイマイヤー振付の『椿姫』ではヴェルディの曲は一切使われず全編ショパンの音楽が使用されています。ケネス・マクミラン振付の『マノン』ではマスネのオペラ『マノン・レスコー』の音楽はやはり一切使用せず、代わりにマスネの他の作品『エレジー』や『聖処女』といった曲が使用されています。また、ジョン・クランコ振付の『オネーギン』は一部チャイコフスキーのオペラ『エフゲニー・オネーギン』の曲が一部使用されており、やはりチャイコフスキーの他の作品を多数使用しています。

このように音楽に関してはオペラの曲をそのまま踏襲することは少ないのですが、『ホフマン物語』ではオペラの音楽を聴くことができます。ジュリエッタが登場する第３幕で『舟唄』が流れます。

編曲は『リーズの結婚』などバレエ作品の数々の編曲で非常に高名なジョン・ランチベリーが手がけています。

今回は待望の再演、ダーク・ファンタジーの世界観をバレエで楽しむ、絶好の機会です。