世界中で愛される、泣けるオペラ『椿姫』〜あらすじや曲を紹介〜
8.まとめ
仮面舞踏会場の様子、ホセ・ガルシア・ラモス画、1905年 出典:Wikimedia Commons
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オペラ『椿姫』は、世界中で愛されるヴェルディの代表作!美しい音楽や豪華な舞台など、聴きどころ見どころ盛りだくさんで、オペラ初心者でも楽しめること間違いなしです。
社会的に顧みられることのなかった裏の世界に生きる女性、高級娼婦(クルチザンヌ)。見過ごされてきた人間の生きざまを通して、ヴェルディが芸術に昇華させた「泣けるオペラ」をお楽しみください!
オペラって、素晴らしい!
9.オペラ『椿姫』の関連作品
9-1.演劇『椿姫』
アレクサンドル・デュマ・フィスの『椿姫』は、小説出版の翌1849年に彼自身が戯曲化しています。1852年にパリで上演すると、たちまち大評判になり、19世紀を代表する戯曲となりました。
1852年初演でマルグリットを演じたウジェニー・ドッシュ 出典:Wikimedia Commons
ヒロインのマルグリット(オペラではヴィオレッタ)役は歴代大女優が演じています。初演時のマルグリット役は、ウジェニー・ドッシュ(シャルロット・マリー・ドッシュ、1821-1900)。作者のデュマ・フィスも絶賛し、1852~1867の15年にわたって約500回も演じました。
ヴィオレッタを演じるサラ・ベルナール、1882年5月26日パリ・ゲテ座 ミュシャ作「椿姫」のポスター、1896年 出典:Wikimedia Commons
フランスの伝説的女優サラ・ベルナール(1844–1923)は、マルグリット役を生涯の持ち役としました。アール・ヌーヴォーを代表する画家アルフォンス・マリア・ミュシャ(1860-1939)が描いた、彼女の『椿姫』のポスターも非常に有名です。
エレオノーラ・ドゥーゼ、19世紀後半 出典:Wikimedia Commons
サラ・ベルナールと並ぶ演劇史上最大の悲劇女優、イタリアのエレオノーラ・ドゥーゼ(1858-1924)もマルグリット役を演じました。
グレタ・ガルボ(マルグリット)、ロバート・テイラー(アルマン)、ジョージ・キューカー監督、1936年
映画も多数。中でも、『若草物語』や『ガス灯』などの名作を手がけた、アメリカの映画監督ジョージ・キューカーが映画化した『椿姫』は、ヒロイン役のグレタ・ガルボの白熱の演技が見どころです。
9-2.ミュージカル『マルグリット』
ミュージカル『マルグリット』は、アレクサンドル・デュマ・フィスの戯曲『椿姫』を基にミュージカル化し、2008年にロンドンで初演しました。『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』などのヒット作を手がけた、アラン・ブーブリルとクロード=ミシェル・シェーンベルクの共同製作です!
第二次世界大戦中、ナチスの占領下にあるパリが舞台。ナチス将校オットーの愛人である歌姫マルグリットと、雇われピアニストのアルマンの恋愛物語です。日本では2009年初演、2011年にはマルグリット役に藤原紀香さん、オットー役に西城秀樹さんというビッグスターをキャストに再演されました。
参考文献
『名作オペラブックス2 椿姫』アッティラ・チャンパイ、ディートマル・ホラント編、海老沢敏リブレット対訳、名雲淳子本文訳、音楽之友社(1987年)
『スタンダード・オペラ鑑賞ブック イタリア・オペラ下』音楽之友社編、音楽之友社(1998年)
『「椿姫」に魅せられて』谷口久美著、中央公論新社(2019年)
『ヴェルディのプリマ・ドンナたち/ヒロインから知るオペラ全26作品』小畑恒夫著、水曜社(2016年)
『ヴェルディ:オペラ変革者の素顔と作品』加藤浩子著、平凡社(2013年)
『椿姫』デュマ・フィス著、永田千奈訳、光文社(2018年)
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