ウクライナの小説家ブルガーコフ『運命の卵』×チャイコフスキー オペラ『スペードの女王』、『エヴゲーニイ・オネーギン』~小説を彩るクラシック#23
ミハイル・ブルガーコフ『運命の卵』
ウクライナ出身、ロシアで活動をしていたミハイル・ブルガーコフは、秀逸な構成とユーモラスな作風の物語を雑誌や新聞に発表。
演劇の戯曲なども手掛け、作家として評判になっていきますが、ソビエト連邦の体制下では、風刺の効いたユーモアは危険なものでした。
ソ連当局はブルガーコフの作品を発禁処分にし、メディアはブルガーコフの作品は「ソビエト性に欠ける」と非難。
劇場との契約も打ち切られてしまいます。
1930年、ブルガーコフは政府に対して外国移住許可の承認を求めます。これはブルガーコフにとっては賭けでした。
許可が認められない場合は収容所送りになってしまうからです。
そして、ブルガーコフのもとに電話がかかってきます。
電話は当時のソビエト最高指導者、ヨシフ・スターリンからでした。
「あなたは私たちにうんざりしてしまったのですか?」
これに対してブルガーコフはどう答えればよかったのでしょう?
ブルガーコフはロシアに留まり、劇場との契約は再開されました。
ですが、小説の方は当時ほとんど出版されることのないまま、ブルガーコフは48歳の若さで亡くなってしまいます。
現在出版されているものの多くが、彼の死後に出版されたものです。
ブルガーコフのほかの作品、エピソードはこちら
ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』
ブルガーコフ『犬の心臓』
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