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ウクライナの小説家ブルガーコフ『運命の卵』×チャイコフスキー オペラ『スペードの女王』、『エヴゲーニイ・オネーギン』~小説を彩るクラシック#23

ピョートル・チャイコフスキー
オペラ『エヴゲーニイ・オネーギン』

水辺に向かう途中、茂みから、シューシューという音と、丸太をひきずるような音が聞こえて、ロックは心臓のあたりに嫌な感じを覚えます。ちょうどそんなときに妻マーニャが「泳ぎに行くのなら私も」とやってきます。

ロックは金縛りにあったように、嫌な気配がするほうを見つめていると、そこから丸太のような身体をした大蛇が顔を覗かせます。その目つきは今まで見たことがないほど邪悪なものでした。

 

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恐怖に震えたロックは、蛇をなだめようとフルートを唇に当てて、『エヴゲーニイ・オネーギン』のワルツを、あえぎながら演奏します。
運悪くロックに追いついたマーニャは大蛇に締め付けられ絶命。ロックは助かりますが、恐怖と混乱によって髪の毛が真っ白になってしまいます。

ソフホーズで赤色光線を当て続けていた卵は蛇の卵で、ペルシコフのもとに届くはずのものでした。
畜産部の手違いで、鶏の卵はペルシコフの所へ、蛇の卵はソフホーズに届いていたのです。

その後、凶悪に繁殖した大蛇たちはモスクワに迫ってきます。
群衆はパニックに陥り、この赤色光線を作った元凶としてペルシコフを襲撃、そして罪のないペルシコフは殺されてしまいます。
大蛇の侵攻を止めたのは寒波でした。マイナス18度という酷寒が爬虫類を弱らせ、人々を助けることになりました。

1982年、福島県生まれ。音楽、文学ライター。 十代から音楽活動を始め、クラシック、ジャズ、ロックを愛聴する。 杉並区在住。東京ヤクルトスワローズが好き。

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