日本の長崎が舞台のオペラ、プッチーニ【蝶々夫人】あらすじ紹介からジャポニスムまで

2022.08.29おすすめオペラ

オペラ『蝶々夫人』の見どころ

オペラ『蝶々夫人』のあらすじに加えて、見どころも知っておくとオペラはもっと楽しくなります。
見どころはたくさんありますが、特に次にご紹介する点に注目して鑑賞してみてください！

日本の楽曲が満載

『蝶々夫人』を鑑賞していると、ところどころに和のテイストが感じられます。特に、第1幕の結婚式のシーンでは、『君が代』、『さくらさくら』、『お江戸日本橋』などの曲が次から次へと登場します。参考動画を視聴して探してみるのも楽しいですよ！

君が代13分15秒～　さくらさくら15分40秒～　お江戸日本橋20分05秒～

『蝶々夫人』はオペラ全体に渡って、長唄、端唄、民謡など日本の伝統的な音階に基づく楽曲が効果的に挿入されています。西洋の調性音楽の中に絡み合わせても全く違和感なく、流麗さを保ったまま音楽が進んでいくところなど、まさに旋律の天才プッチーニです。

プッチーニオペラの超有名曲！『ある晴れた日に』Un bel dì vedremo

第2幕第1場、ピンカートンが去った後、ピンカートンの帰りを強く信じて歌う蝶々さんのアリアです。プッチーニのオペラはそれぞれに有名なアリアがありますが、その中でもこの曲は1、2を争う超有名曲！ソプラノ歌手のリサイタルで演奏されることが多く、テレビや映画でもよく聴く曲ですが、実は歌うのが難しい難曲です。

この曲を十八番にしていたのが、日本人初の国際的オペラ歌手、三浦環です。1920(大正9)年、三浦環の『蝶々夫人』をローマで観たプッチーニは感激し、「長年思い描いてきた蝶々さんそのものだ」と最大の賛辞を贈っています。三浦環は『蝶々夫人』2000回出演を達成し、日本語訳でも歌って日本中にこのオペラを広めました。

蝶々さん魂の歌唱！『かわいい坊や』Tu Tu Piccolo Iddio!

第2幕第2場の最終シーン、自害しようとする蝶々さんのもとに子どもが駆け寄って来ます。そこで蝶々さんは短刀を置き、自らの命の火を消す最後の瞬間に、最愛の子どもに向かって今生の別れを歌います。蝶々さん魂の歌唱と言える、このオペラ最大の見せ場です。
プッチーニはこのアリアに、非常にドラマティックで息の長い旋律を付けました。怒り、悲しみ、苦悩、プッチーニの音楽はそのどれをも超越した激しい感情を、聴く者の心に湧き上がらせます。蝶々さんを演じるソプラノ歌手は、ここで最大限に魂をぶつけて歌い切らなければ、この悲劇的なドラマのリアリティは完成しないのです。