見どころ満載のファンタジック・オペラ、オッフェンバックの『ホフマン物語』~あらすじや曲を紹介~
パリの作曲家ジャック・オッフェンバック(1819-1880)が作曲したオペラ『ホフマン物語』は、親しみやすいファンタジック・オペラ!初めてオペラを見る人にもおススメの作品です!
直近では3月15日(水)〜21日(火・祝)に新国立劇場での公演が控えています。
グランド・オペラの全5幕形式は長大に思われますが、一つ一つの物語はシンプルな一話完結型。
個性的で多彩な登場人物が織り成すファンタジックな世界には、どこか隠し味のように都会的で不気味な雰囲気が漂います。 主人公の荒唐無稽でおかしな恋物語に、ちょっと思い当たるほろ苦さも感じるかも?
オペラ『ホフマン物語』とは?
オペラより気軽なジャンルの「オペレッタ」で名を成したオッフェンバックが、最後に残した唯一のオペラ作品。それが、この『ホフマン物語』です。
ストーリーは、ドイツの作家E.T.A.ホフマン(1776-1822)の小説を基にしています。
オペラ『ホフマン物語』の原作紹介
E.T.A.ホフマン『砂男』~オペラの原作#04
E.T.A.ホフマン『クレスペル顧問官』~オペラの原作#05
E.T.A.ホフマン『大晦日の夜の冒険』~オペラの原作#06
オッフェンバックが死の間際まで手を入れ続けた未完のオペラで、その後も複雑な運命をたどったため複数の版があり、完成形が推測できない謎の多い作品とされています。しかし、その捉えどころのなさもオッフェンバックらしく感じられます。まるで後世の私たちに残した、楽しい謎かけのよう!
オペラ『ホフマン物語』は現在、オッフェンバックの作品で最も上演機会の多い作品です。
なお、3月15日(水)から開幕する新国立劇場のオペラ『ホフマン物語』では、「エーザー版」(オランピア、アントニア、ジュリエッタの順で幕が進む)を基本に、終幕で独自の解釈を加えています。(4ページ目「オペラ『ホフマン物語』の版による違い」を参照)
ホフマン物語|Les Contes d’Hoffmann
オペラ『ホフマン物語』先読みあらすじ
恋多き詩人のホフマンは、親友のニクラウスを伴って歌劇場の酒場に現われ、学生たちに3人の女性との恋物語を話します。
1人は自動人形のオランピア、2人目は歌うと死ぬ運命にある歌手アントニア、3人目は人間の鏡像を盗む高級娼婦ジュリエッタ。しかし、悪魔的な男に邪魔をされて、どの女性との恋も成就しません。
語り尽くして酔いつぶれたホフマン。想い人のプリマドンナ、ステッラも愛想を尽かして去ってしまいます。いつもホフマンをそばで見守るニクラウスの正体は、芸術の女神ミューズ。心の苦しみを詩として描くよう語りかけ、ホフマンを本物の詩人に生まれ変わらせます。
オペラ『ホフマン物語』の登場人物
詩人
ホフマンの親友/芸術の女神
ホフマンの恋敵の上院議員
ホフマンが想いを寄せるプリマ・ドンナ
ステッラの召使
…………………………………
美しい自動人形
人形師
オランピアを制作した物理学者
スパランツァーニの助手
…………………………………
病弱なソプラノ歌手
医師
顧問官、アントニアの父親
クレスペルの召使
…………………………………
高級娼婦
魔術師
ジュリエッタの情夫
ジュリエッタの下男
ほか
※リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥットは同じバリトン歌手が、アンドレス/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョは同じテノール歌手が演じる。
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