願いごとが叶う瞬間を体験できるバレエ『シンデレラ』|あらすじや振付師による違い、見どころを解説
2. バレエ『シンデレラ』を舞台で観てみよう
実は、シンデレラは振付師によって設定がかなり異なります。今回は、有名な「アシュトン版」「シュペルリ版」「ヌレエフ版」の3つについて、振付師による違いを解説します。
2. 1 バレエ『シンデレラ』の振付師による違い
「アシュトン版」「シュペルリ版」「ヌレエフ版」も、低い立場にあったシンデレラが王子のような立場の男性に見初められて夢を叶えるという「シンデレラストーリー」は共通しています。
異なるのは、舞台となる時代や場所。童話の世界と同じ設定のアシュトン版に対して、シュペルリ版はバレエ団、ヌレエフ版はハリウッドが舞台となり、より現代的な設定となります。
2. 1−1 アシュトン版
フレデリック・アシュトンによって振り付けられたアシュトン版『シンデレラ』は1948年に、現在の英国ロイヤルバレエ団の前身である「サドラーズ・ ウェルズ・バレエ団」で初演されました。
アシュトンはイギリス人の振付家として、初めて全幕バレエを振り付けたことで有名ですが、その作品が『シンデレラ』だったのです。
アシュトン自身も作中で義理の姉をコミカルに演じ、好評を得ています。
現在では、英国ロイヤルバレエ団のほか、新国立劇場バレエ団がアシュトン版『シンデレラ』をレパートリーにしています。
2. 1−2 シュペルリ版
ハインツ・シュペルリ版の『シンデレラ』は、バレエ団が舞台です。プリマバレリーナであった母の死後、コールドバレエ(群舞のこと)の一員となったシンデレラは、同じバレエ団に所属する継母や義理の姉たちにいじめられながらも一生懸命レッスンに励みます。
そして、継母や義理の姉たちは、世界的に有名なダンサーがパートナーを探すために開催した舞踏会へと出かけていくのです。
シュペルリ版では、シンデレラを変身させる仙女に変わって、バレエ教師がシンデレラを導きます。
世界的なダンサーに見初められたシンデレラが落とすのは「トゥシューズ」。世界的ダンサーは、トゥシューズを片手にシンデレラを探すのです。
シュペルリ版の『シンデレラ』はチューリッヒバレエ団のレパートリーとなっています。
2. 1−3 ヌレエフ版
伝説のバレエダンサーであるルドルフ・ヌレエフによって振り付けられたヌレエフ版『シンデレラ』は、1930年代のハリウッドが舞台。シンデレラは女優を夢見る少女として登場します。
怪我をしたプロデューサーを介抱したことから、シンデレラが一躍映画界の注目の人となっていくストーリーです。
突然映画界のスターの座を与えられたシンデレラの心には、ふと不安がよぎり、撮影スタジオを飛び出します。そのときに落としたハイヒールがシンデレラを探す手がかりになるのです。
ヌレエフ版の『シンデレラ』は、パリ・オペラ座バレエ団のレパートリーとなっています。まるでハリウッド映画のセットのような豪華な舞台装置も見どころのひとつです。
2. 1−4 それぞれの舞台の比較
「アシュトン版」「シュペルリ版」「ヌレエフ版」は、舞台の時代や設定は大きく異なるものの、シンデレラの夢が叶っていくというストーリーは変わりません。
また、アシュトン版における王子は、シュペルリ版では世界的ダンサー、ヌレエフ版ではハリウッドのスーパースターになるなど、役自体は違いますが、その時代や業界における地位の高い男性という点では同じですよね。
シュペルリ版やヌレエフ版のほうがアシュトン版より現代的に描かれているため、衣装やセットなどにも注目して観ると面白いでしょう。
当然、踊りの振り自体も振付師によって異なるため、その違いも楽しめます。
3. バレエ『シンデレラ』の見どころ
続いて、バレエ『シンデレラ』において特に注目して欲しい見どころを2つご紹介します。
3. 1 シンデレラの健気な姿に涙がこぼれるシーン
(※リンクを開いてご覧ください)
こちらのシーンは、継母や義理の姉たちが舞踏会に出かけた後、ホウキを王子様に見立ててシンデレラが踊るシーンです。
継母たちに置いていかれてひとりぼっちにもかかわらず、健気に踊る姿に涙を覚えます。
初めは、自立しないホウキに「はぁ…」と落ち込んだり「もう!」と怒ってみせたりするシンデレラですが、そのうち自分でホウキを抱えて踊るなど、自分の状況を受け入れて健気に頑張ろうとする姿が印象的です。
どんな状況であっても卑屈にならず、精一杯生きているシンデレラからは現代人の我々も学ぶものがありますね。
3. 2 シンデレラの夢が叶い、感動するシーン
こちらは、仙女の魔法によって美しく変身したシンデレラが舞踏会に到着したときのシーン。
トゥシューズで立ったまま真っ直ぐに前を見つめ、下を見ることなく階段を下りていく姿が印象的です。
このシーンは、毎日家の掃除や家事などの雑用ばかりをやらされ、みすぼらしい格好を強いられていたシンデレラにとって夢のような場面。
トゥシューズで立ったまま階段を下りるという高度な振り付けをすることで、シンデレラが夢見心地でふわふわしている様子を表しています。
一幕の涙を誘うような健気な姿からのコントラストもグッときますよね。
4. バレエ『シンデレラ』 近々の舞台
2021年〜2022年にかけては、NBAバレエ団、松山バレエ団、Kバレエカンパニー、新国立劇場バレエ団など、日本の有名バレエ団がシンデレラを上演してきました。
直近で申し上げると、2022年6月5日に兵庫県尼崎市で法村友井バレエ団が『シンデレラ』を上演します。
本記事を読んで『シンデレラ』を観てみたいと思った方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
記事を読んで、シンデレラを観に行きたくなりました。
観に行きたくなりすぎて、どうしましょう
個人的には、みなとシティバレエ団のシンデレラが
観てみたいのですが…
都会に住んでいらっしゃる方が羨ましい
はぁ、観に行きたいったら
コメントをいただき、ありがとうございます!
これからも様々な作品を紹介していきますので、
楽しんでいただけたら嬉しいです