2023年4月28日(金),29日(土) 日本フィルハーモニー交響楽団 第749回東京定期演奏会 サントリーホール
2023年4月28日(金),29日(土)
サントリーホール
日本フィルハーモニー交響楽団
第749回 東京定期演奏会
インキネン首席指揮者として最後の東京定期公演は
シベリウスの『クレルヴォ交響曲』
長く幸せな蜜月関係を続けた
インキネンと日本フィル
©︎Kaupo Kikkas
フィンランド出身の指揮者、ピエタリ・インキネンは、2008年に初めて共演して以来、首席客演指揮者から首席指揮者となり、契約を延長し続けてきました。シベリウス交響曲全集の録音をしたり、2019年には日本フィルと共にヨーロッパ公演も成功させたりしています。
とうとうインキネンの首席指揮者としての任期が終了する時が来てしまいました。
今年の8月でインキネンは日本フィルの首席指揮者を退任します。最後の東京での定期公演で彼が選んだ作品は、よく取り上げてきたフィンランドの作曲家シベリウスの作曲である『クレルヴォ交響曲』です。
左:『クレルヴォ交響曲』楽譜の表紙/出典:IMSLP
右:クレルヴォが描かれた絵画 画:アクセリ・ガッレン=カッレラ(1901年) 出典:Wikimedia Commons
『クレルヴォ交響曲』は合唱付き管弦楽曲で、シベリウス自身は「独唱者と合唱、管弦楽のための交響詩」とサブタイトルをつけています。楽章配置、曲の規模や構成から俗称で「交響曲」と呼ばれ、ポピュラーな名称となっています。フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』のクレルヴォの物語(第31章から第36章)を題材にしており、演奏には1時間以上かかるシベリウス初期の大作です。
フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』
『カレワラ』はフィンランド各地に伝承されている詩や物語を集めたもので、フィンランド人なら誰もが知っています。
フィンランドはロシアに統治されていた時代(1809~1917年)がありますが、民族意識を高め独立の機運を高めるのに多大な貢献をしたのがこの『カレワラ』です。
『サンポの防衛』(1896年)|『アイノ』(1891年)
叙事詩『カレワラ』を題材とした絵画。
画:アクセリ・ガッレン=カッレラ 出典:Wikimedia Commons
『カレワラ』が最初に出版されたのが1835年2月28日だったことから2月28日を「カレワラの日」として『カレワラ』とフィンランドの文化を祝い、フィンランド国内では国旗が掲揚されるそうです。
フィンランド人にとって特別で、大切な『カレワラ』を題材とした『クレルヴォ交響曲』を、インキネンは日本フィルとの最後の東京定期公演で演奏する曲として選んだのです。実は『クレルヴォ交響曲』は1986年に日本フィルの創設者、渡邉暁雄のタクトで上演されており、実に37年ぶりに再びプログラムに取り上げられることとなりました。
理想的なキャスト
『クレルヴォ交響曲』は序章、クレルヴォの青春、クレルヴォと妹、戦争へ赴くクレルヴォ、クレルヴォの死という5部からなります。美しいハーモニーで奏でられる緩徐楽章的な部分、あるいは壮大な勇壮な部分があり、物語をドラマティックに、そしてエモーショナルに描いています。
ソプラノ:ヨハンナ・ルサネン, バリトン:ヴィッレ・ルネサン
今回、ソリストにソプラノのヨハンナ・ルサネンとバリトンのヴィッレ・ルサネンを迎えます。クレルヴォと妹の役ですが、実際にこの二人は姉弟です。
そして合唱もヘルシンキ大学男声合唱団(フィンランド語歌唱による最も古い合唱団で多くの作曲家が曲を献呈している)を招き、東京音楽大学の合唱団との混成チームで臨みます。
インキネンと日本フィルが最後の公演のために用意してくれた素晴らしいプレゼント、貴重な演奏機会をどうぞお聴き逃しなく。
2023年4月28日(金),29日(土)
日本フィルハーモニー交響楽団
第749回 東京定期演奏会
会場:サントリーホール
開演:28日(金) 19時、29日(土) 14時
★ チケット料金
8,000円〜6,000円 ※C席完売
詳しくは:日本フィルハーモニー交響楽団
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