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プレビュー:2023年1月6日(金)公開  映画 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23『アイーダ』

2023年1月6日(金)公開  映画 英国ロイヤル・オペラ・ハウス
シネマシーズン2022/23『アイーダ』

大胆な読み替え 古代エジプトから現代の軍事国家へ

アイーダ(エレナ・スティヒナ)とラダメス(フランチェスコ・メーリ)©Tristram Kenton

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/23は3作目が年明け早々に公開されます。今回はオペラ『アイーダ』で、新演出版となります。
10月に初演された際に大変話題となったプロダクションで、早くもスクリーンで鑑賞できるのは嬉しい限りです。

『アイーダ』の舞台はファラオがいる時代の古代エジプトです。エジプト軍の将軍ラダメスと恋仲にある奴隷のアイーダ(実はエジプトの敵国、エチオピアの王女)。
そこにやはりラダメスに恋をしてしまったエジプトの王女アムネリスが絡んできて三角関係になり、最後は誰も幸せになれない悲しい結末を迎えるというストーリーです。

勝利に沸くエジプト軍凱旋のシーンで舞台に作り出される古代エジプトは、大人数の迫力ある合唱やバレエシーンがあったり、本物の象を登場させるプロダクションもあったりして大変な豪華絢爛さ。このスペクタクルが見どころのひとつとなっています。
サッカーの試合で使用されすっかりおなじみとなった「凱旋行進曲」もここで演奏されます。

「今」を映し出す新演出

ラダメス(フランチェスコ・メーリ)©Tristram Kenton

今回演出を手がけたロバート・カーセンは、極彩色の豪華絢爛さ、エキゾチックさは排除し、舞台を現代の架空の国にしました。そこは全体主義の軍事国家。エジプト王は国家元首、その娘がアムネリス、アイーダは使用人になっています。
全体的にモノトーンの舞台と衣裳、でもだからこそ殺伐とした環境で愛し合い戦争に翻弄されるアイーダとラダメス、そしてアムネリスの人間模様がとても鮮明に浮かび上がります。捕虜として連れられてきたアイーダの父親であるアモナズロ(エチオピア王)の策士ぶりなども際立っています。

なにより大人数の合唱がみな軍服に身を包んで舞台に立っているさまが恐ろしい迫力で、軍事国家の危険さを表しています。

合唱©Tristram Kenton

終始暗い色の衣裳に身を包んでいるアイーダ役のエレナ・スティヒナのデリケートな心情を表現する歌唱に圧倒されます。一方、鮮やかな色の衣裳を着けたアムネリス役のアグニエツカ・レーリスの悪役ぶりや、冷たい軍人に徹しきれないラダメス役のフランチェスコ・メーリといった歌手の力量が存分に楽しめる舞台です。

硬質で冷たい色味のない舞台で交わされる、個々の熱い感情に心揺さぶられることでしょう。

アムネリス(アグニエツカ・レーリス)/アモナズロ(エチオピア王、リュドヴィク・テジエ) ©Tristram Kenton
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トップ画像:©Gavin Smart


英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23『アイーダ』
2023年1月6日(金)~1月12日(木)
会場:TOHOシネマ日本橋ほか各映画館

開演:会場による
★ チケット料金
3700円(学生2500円)

詳しくは:東宝東和/英国ロイヤル・オペラ・ハウス


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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