E.T.A.ホフマン『クレスペル顧問官』:オペラ『ホフマン物語』の原作紹介〜オペラの原作#05
ジャック・オッフェンバック作曲
オペラ『ホフマン物語』の原作
E.T.A.ホフマン『クレスペル顧問官』
オペレッタの父オッフェンバックの遺作『ホフマン物語』
ジャック・オッフェンバック 出典:Wikimedia Commons
『天国と地獄』を生んだオペレッタの父オッフェンバックが最後に残した作品『ホフマン物語』は、ドイツ・ロマン主義作家E.T.A.ホフマンによる3つの物語を原作としています。
詩人ホフマンを主人公として、彼の不幸な恋物語をオムニバス形式に仕上げた傑作で、1881年のパリ初演以来、高い人気を誇っています。
オペラ『ホフマン物語』の1881年2月1日パリ初演を描いた版画
出典:Wikimedia Commons
2013年には二期会による公演があり、新国立劇場でフレデリック・シャスラン指揮による上演がなされました。
2023年3月15日(水)からは、新国立劇場にてマルコ・トレーニャ指揮、フィリップ・アルロー演出による『ホフマン物語』が上演されます。
今回は、第三幕の原作となっている『クレスペル顧問官』の原作を紹介します。
オペラ『ホフマン物語』の構成と物語の原作
第一幕 プロローグ
第二幕 オランピア/原作:E.T.A.ホフマン『砂男』
E.T.A.ホフマン『砂男』〜オペラの原作#04
第三幕 アントニア/原作:E.T.A.ホフマン『クレスペル顧問官』
第四幕 ジュリエッタ/原作:E.T.A.ホフマン『大晦日の夜の冒険』
E.T.A.ホフマン『お晦日の夜の冒険』〜オペラの原作#06
第五幕 エピローグ
『クレスペル顧問官』E.T.A.ホフマン
ゼラーピオン同人集(1819年) 出典:Wikimedia Commons
『クレスペル顧問官』は1816年の作品で、フケー※発行の雑誌『婦人文庫』にフケー宛の書簡という体裁で発表され、翌年には『ゼラーピオン同人集』第一巻に『クレスペル顧問官』のタイトルで収録されました。
この話の語り手はホフマン自信の分身といえるようなキャラクター、作曲家のテオドール。
『クレスペル顧問官』は、音楽家でもあったホフマンの美と幻想性が現れた作品となっています。
※フケー … フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケ(1777 – 1843)ドイツのロマン主義作家、詩人。同時代のロマン主義作家としてホフマンとフケーは親しく交友していました。代表作『ウンディーネ』はホフマンやアルベルト・ロルツィング、ピョートル・チャイコフスキーがオペラ化しているほか、文学、絵画、音楽、戯曲、バレエの原作や題材として後世まで広く影響を与えています。
小説『クレスペル顧問官』の登場人物
- わたし(語り手・テオドール)
物語の語り手、作曲家 - クレスペル顧問官
法律家、芸術家、古文書学者で奇人 - アントーニエ
たぐいまれな歌唱力を誇る美しい女性 - アンジェラ
ヴェネツィアの歌姫
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