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E.T.A.ホフマン『クレスペル顧問官』:オペラ『ホフマン物語』の原作紹介〜オペラの原作#05

関連公演

2023年3月15日(水)〜21日(火・祝)
新国立劇場オペラ『ホフマン物語』
会場:新国立劇場 オペラパレス

開演
15日(水) 18:30
17日(金) 14:00
19日(日) 14:00
21日(火・祝) 14:00

★ チケット料金
24,200円~4,400円

詳しくは:新国立劇場

オペラと原作の違い

オペラ『ホフマン物語』と、原作の違いはたくさんあるのですが、最大の違いは結末のシーンではないでしょうか。

原作でアントーニエ(オペラだとアントニア)は、至高の芸術への愛のために歌い、死ぬのですが、オペラ版では、医師ミラクルという邪悪な存在がアントーニエの名誉欲をあおるかたちで歌うように仕向け、力の限り歌い抜き、死んでしまいます。

自らの意思で天に飛び立ったように見えるアントーニエと、医師ミラクルの「歌え、歌え」という悪魔のささやきによって、いわば殺されたアントニア。

美に殉じる崇高な原作と、加害者が存在するドラマチックなオペラ作品。アントーニエの宿命は変わらないのですが、医師ミラクルという存在が登場するだけでオペラらしい劇的な効果が現れているように思います。

アントニアの死 『ホフマン物語』第3幕(1881年)
出典:Wikimedia Commons

E.T.A.ホフマンについて

Gedenktafel Charlottenstr 56 Ernst Theodor Amadeus Hoffmann

ベルリン、シャルロッテ通りにあるホフマンの記念碑
OTFW, Berlin, CC BY-SA 3.0
出典:Wikimedia Commons

法律家の家に生まれたホフマンは、幼少期から音楽と絵に熱中していました。

文学、音楽、絵画と多彩な分野で才能を発揮しましたが、現在では主にロマン派を代表する幻想文学の奇才として知られています。

ホフマンの作風は、バルザック、ボードレール、モーパッサン、プーシキン、ドストエフスキー、エドガー・アラン・ポーにまで広く影響を与えたことはよく知られています。

代表作は、『黄金の壺』、『砂男』、『ブランビア王女』、『牡猫ムルの人生観』、『くるみ割り人形とねずみの王さま』など。


『くるみ割り人形とねずみの王さま』紹介記事はこちら ↓

クレスペルのモデル

クレスペルにはモデルとなった人物がいます。フランクフルトの顧問官ヨハン・ベルンハルト・クレスペルという、ゲーテの『詩と真実』に登場する芸術愛好家で、自作の服を着たり、自分で家を建てるなど、この作品同様、奇人だったようです。

Goethe Dichtung und Wahrheit

ゲーテ/自叙伝『詩と真実』1811年
Wikimedia: Foto H.-P.Haack, CC BY-SA 3.0
出典:Wikimedia Commons

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1982年、福島県生まれ。音楽、文学ライター。 十代から音楽活動を始め、クラシック、ジャズ、ロックを愛聴する。 杉並区在住。東京ヤクルトスワローズが好き。

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