E.T.A.ホフマン『クレスペル顧問官』:オペラ『ホフマン物語』の原作紹介〜オペラの原作#05
関連作品・『クレスペル顧問官』に登場する作曲家
『G町のジェズイット教会』
岩波文庫から出ている『ホフマン短篇集』に「G町のジェズイット教会」という作品が収録されています(ちなみに『クレスペル顧問官』も収録されています)。
この作品には、ベルトルトという奇人が登場します。
ベルトルトは才能のある画家なのですが、至高のものを追い求めるあまり、苦悩しています。
「人間を超えたものは神にちがいない。さもなくては悪魔です」
芸術に命をかけるあまり、悪魔・狂人として描かれるベルトルトは『クレスペル顧問官』のように、「(至高の)芸術」とは? という問題に苦しみます。
神に近づこうとした人間は、狂気の炎に焼かれてしまいます。ある人は天に昇り、ある人は悪魔となってしまいます。
こうした人の業や宿命のようなものを、ホフマンは、音楽家、画家、詩人という芸術家の目を通して何度も繰り返し書き続けました。
『クレスペル顧問官』に登場する音楽・作曲家
自身も音楽家であったホフマンの作品には数々の音楽家や作曲家が登場します。以下では『クレスペル顧問官』を彩る音楽家たちを紹介します。
・ジュゼッペ・タルティーニ(1692~1770)
ジュゼッペ・タルティーニ
出典:Wikimedia Commons
イタリアのヴァイオリン奏者・作曲家
クレスペルが「わたし」にヴァイオリンの説明をするシーンに登場(おそらくタルティーニの時代のもの~)
・カール・シュターミッツ(1745~1801)
カール・シュターミッツ
出典:Wikimedia Commons
ドイツのチェコ系作曲家
「わたし」を家から追い出したときにクレスペルはシュターミッツが最後のコンサートで使用したヴァイオリンの弦を渡す。
・ヴィンチェンツォ・プチッタ(1778~1861)/マルコス・ポルトガッロ(1762~1830)
ヴィンチェンツォ・プチッタ/マルコス・ポルトガッロ
出典:Wikimedia Commons
イタリアの作曲家/ポルトガル生まれ、ブラジルの作曲家
「わたし」がふざけてピアノを弾いたシーンで引きあいにだしたのが上記二人の作曲家。
・レオナルド・レオ(1694~1744)
レオナルド・レオ
出典:Wikimedia Commons
イタリアの作曲家
アントーニエを歌わせようと気を引くために「わたし」はレオナルド・レオの感情のこもった歌曲を弾いた。
・ジョヴァンニ・マルティーニ(1706~1784)
ジョヴァンニ・マルティーニ
出典:Wikimedia Cmmons
イタリアの音楽理論家・作曲家
アントーニエがクレスペルの前で披露した曲はマルティーニの〝モテット〟
『ホフマン物語』2幕、4幕の原作紹介はこちら↓
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