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プレビュー:8月25日(金)~公開 映画 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23『眠れる森の美女』

2023年8月25日(金)〜31日(木)
英国ロイヤル・オペラ・ハウス
シネマシーズン2022/23

『眠れる森の美女』

英ロイヤル・バレエ団の真骨頂バレエによる極上のおとぎ話

一流のカンパニーだけが実現できる夢の舞台

バレエ『眠れる森の美女』は振付がマリウス・プティパ、音楽がチャイコフスキーです。チャイコフスキーの三大バレエ作品のうちのひとつで、美しい音楽で彩られた高貴なプリンス&プリンセスのハッピーエンドのお話。古典バレエの代表作品です。

登場人物が多く、それもソロを踊る役=テクニックを要する役が多いので、優秀なダンサーが多数在籍するビッグ・カンパニーでないと上演できません。

英国ロイヤル・バレエ団の『眠れる森の美女』を鑑賞すると、超一流のカンパニーだからこそ実現できる、舞台上で繰り広げられるペローの童話の世界に圧倒されます。カンパニーの伝統、歴史、実力に支えられた舞台……今回はそれをスクリーンで楽しむことができるのです。

上演時間3時間近い『眠れる森の美女』のあらすじ

©2023 ROH. Photographed by Andrej Uspenski 

『眠り』は、時のロシア皇帝アレクサンドル三世に捧げられており、登場する王室は絶対王政時代のフランス王室がモデルと言われています。

プロローグ──揺るぎない栄華を誇る王室に待望のプリンセス、オーロラが誕生します。おとぎ話ですので善を象徴するリラの精と悪の妖精カラボス、他にも妖精が出てきます。オーロラ姫の命名式に招かれなかったカラボスはオーロラ姫に呪いをかけます。

第1幕──月日がたち、オーロラ姫の成人を祝う宴にカラボスは再び招かれざる客として登場し、オーロラ姫に糸つむぎのツムを渡すのですが、そこには毒を塗った針が入っており、その針に指を刺してしまったオーロラ姫は倒れてしまいます。リラの精が毒を弱め、オーロラ姫は死は免れますが長い眠りについてしまいます。

第2幕──100年がすぎた森の中、フロリモンド王子一行がやってきます。リラの精は森の奥深いところにオーロラ姫が眠っていることを教え、オーロラ姫の幻影を見せます。オーロラ姫に魅了されたフロリモンド王子は城までやってきて眠るオーロラ姫に口づけをすると、オーロラ姫は目を覚まし、城全体も目覚めます。

第3幕──オーロラ姫とフロリモンド王子の結婚式が華々しく行われます。招待されたシンデレラとフォーチュン王子、赤ずきんちゃんと狼、青い鳥とフロリナ姫、長靴を履いた猫などペローの童話の登場人物たちがお祝いに訪れます。そして最後はプリンスとプリンセスのグラン・パ・ド・ドゥが踊られます。豪華絢爛、未来永劫安泰な王室の栄光を祝福して幕を閉じます。

真摯な踊りに感動する 見どころ満載

今回の主役は、オーロラ姫はヤスミン・ナグディ、フロリモンド王子はマシュー・ボールが務めます。素晴らしいパートナーシップを見ることができます。カンパニーを代表するスターダンサーでありながら、とても丁寧で奇をてらわないきちんとした正確さが感じられ、それが人物造形にも反映されているように思われます。特にオーロラ姫は圧倒的な幸せを約束されているプリンセスなわけで、ナグディのオーロラ姫は無垢でエレガント、高貴さ溢れる美しいプリンセスです。

第1幕のローズ・アダージオでもゆったりと余裕ある振る舞いで魅了します。

そして第2幕、森の中でフロリモンド王子と幻影のオーロラ姫が踊るシーンは、ひときわ音楽が美しいのですが、ボール演じるフロリモンド王子がオーロラ姫にどんどん惹かれていく様子がわかりとてもロマンチックです。

そして第3幕、ゲストとして登場するペローの童話の主人公たちがとても魅力的です。特に青い鳥とフロリナ姫は、次世代のスター候補がキャストされることが多く、今回の青い鳥のジョセフ・シセンズとフロリナ姫のイザベラ・ガスパリーニが印象に残るパフォーマンスを披露してくれています。最後はナグディとボールによるグラン・パ・ド・ドゥ。安定感ありハッピーな気持ちに浸れる極上のパ・ド・ドゥです。

1946年上演を意識した2006年に制作されたプロダクション

幕間に出演者や関係者のコメント、練習風景などが見られるのがシネマ・ビューイングのお楽しみのひとつです。

今回は、英ロイヤル・バレエ団にとって『眠れる森の美女』という作品がとても大切であることを教えてくれています。

第二次世界大戦中、コヴェント・ガーデン(英ロイヤル・バレエ団の本拠地)はダンスホールとして使用されており、オペラハウスとしては機能していませんでした。1946年、戦後初めて上演したバレエが『眠りの森の美女』で、オーロラ姫はマーゴ・フォンテーン、フロリモンド王子がロバート・ヘルプマンだったことが前芸術監督のモニカ・メイスンによって語られます。

今回上映するプロダクションは、英ロイヤル・バレエ団の創立75周年を記念し、2006年に新制作されました。1946年の公演の雰囲気を復元しているのだそうです。

カンパニーの代表的なレパートリー、大作ですが、映画館で気負わずに鑑賞することができます。ストーリーもわかりやすくハッピーエンドが約束されています。ぜひ劇場で鑑賞しましょう。

画像|©2017 ROH. Photograph by Bill Cooper


2023年8月25日(金)〜31日(木)
英国ロイヤル・オペラ・ハウス『眠れる森の美女』
会場:TOHOシネマズ日本橋、ほか全国公開

開演:劇場による

チケット料金
一般・シニア 3,700円
学生・小人 2,500円

詳しくは:東宝東和



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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