男性が活躍するバレエ『海賊』のあらすじや演出の違いを解説！最新上演情報も紹介

ガラ公演などでパ・ド・ドゥが人気の『海賊』。

しかし、全幕を通すとストーリーがややこしく、全体像を把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、バレエ『海賊』のあらすじや見どころをわかりやすく解説します。

2023年5月20日(土)・21日(日)には、NBAバレエ団が『海賊』を上演予定です。

本記事をきっかけに、バレエ『海賊』について復習していただければと思います。

1. バレエ『海賊』のあらすじ

バレエ『海賊』は、地中海を舞台にし、さまざまな人間関係が渦巻くドラマティックな作品です。

1.1
初めに早わかりあらすじを紹介

海賊の首領 コンラッドと手下のアリたちは、嵐による難破の末、ギリシャの浜辺にたどり着きます。

そこにいたのは、美しい娘 メドーラと仲間たち。メドーラに助けられたコンラッドは一目で恋に落ちます。

しかし、奴隷商人ランケデムによってメドーラたちは連れ去られ、奴隷市場で売られることに……。

トルコの総督 パシャがメドーラの親友ギュリナーラを競り落とす中、コンラッドたち海賊はなんとかメドーラと娘たちを救い出します。

海賊たちが暮らす洞窟で、コンラッドとメドーラ、そして忠臣のアリは美しい踊りで難を逃れた喜びを表現します。

そんな中、ランケデムが海賊のひとりビルバンドに近づき、コンラッドへの復讐を決行。メドーラは再びさらわれてしまいます……。

1.2
バレエ『海賊』の登場人物

【バレエ『海賊』の登場人物】

物語の主役はメドーラとコンラッドですが、忠臣アリは踊りの主役といってよいほど大活躍します。

特に、第2幕で踊られるメドーラ・コンラッド・アリのパ・ド・トロワは、ガラ公演などでしばしばメドーラとアリのパ・ド・ドゥとして踊られます。

1.3
バレエ『海賊』のストーリー

演出によって多少の違いはありますが、おおむね『海賊』のストーリーは以下のとおりです。

本記事では、1955年発表のグーセフ版に基づいて、バレエ『海賊』のストーリーを紹介します。

【プロローグ】

大荒れの海の中、一隻の海賊船が航海しています。

首領コンラッドや忠臣アリらの奮闘むなしく、海賊船は難破してしまいました。

【第1幕】
ギリシャの浜辺〜奴隷市場

ギリシャのとある浜辺。難破したコンラッドたちが浜辺に打ち上げられています。

そこにギリシャの娘たちが通りかかり、海賊たちを助け出しました。中でもひときわ美しい娘 メドーラとコンラッドは恋に落ちます。

そこへ突然、奴隷市場ランケデムがトルコ軍を率いて乱入し、メドーラや親友のギュリナーラ、娘たちはさらわれてしまいました。

突然の出来事に驚くコンラッドたちでしたが、メドーラたちを救い出すことを決意します。

場面は変わり、奴隷市場。まずはギュリナーラが競りに出されました。トルコ総督のパシャはギュリナーラを一目で気に入り、自分の物にします。

続いて、本日一番の目玉としてメドーラが競りに出されます。その美しさに惚れ込んだパシャはメドーラも買おうとしましたが、パシャの買値を上回る額で買い取ろうとする商人が現れました。

この商人は、変装したコンラッドでした。正体を明かし、海賊たちはメドーラと娘たちを救い出します。

【第2幕】
海賊たちの洞窟

洞窟では、メドーラたちを救い出したことを祝う宴が開かれています。コンラッドはメドーラや忠臣アリと楽しく踊ります。

その頃、ギリシャの娘たちは故郷に帰りたいと考えていました。娘たちがメドーラに思いを打ち明けると、メドーラはコンラッドに娘たちを解放するよう頼みます。

メドーラに惚れているコンラッドはこれを了承しますが、ビルバンドを含む数人の仲間は反対。

しかし、反対を押し切り、コンラッドは娘たちを解放したのでした。

その後、捕虜として捕らえられていたランケデムとビルバンドが共謀。眠り薬が振られた花束をメドーラに渡します。メドーラから花束を渡されたコンラッドは眠ってしまいました。

その間にランケデムとビルバンドは、メドーラを連れ去ります。

【第3幕】
パシャのハーレム〜花園

舞台はパシャの宮殿。ランケデムがパシャに再度メドーラを売りにやってきます。

パシャの元に残されていたギュリナーラとメドーラは再会を喜びました。

その後、パシャが居眠りをし、舞台は美しい花園の世界へ。メドーラとギュリナーラが花園の中で優雅に踊っています。

そこへ、巡礼者に変装したコンラッドやアリが現れます。激闘の末、メドーラを救い出すことに成功するのでした。

再び海に出るコンラッドとメドーラの姿で幕が下ります。