美しく悲しいバレエ『ロミオとジュリエット』のあらすじや見どころ、振り付け師ごとの違いを解説

恋に悩んでいる方、成就しない恋をしている方・・・すべての恋する女性におすすめの美しい作品をご紹介します。それは、バレエ『ロミオとジュリエット』です。
『ロミオとジュリエット』は、対立する家に生まれた若い男女が強く愛し合っているにもかかわらず、結ばれず命を落とす悲しい物語。
「バレエ=難解=つまらない」と思う方もいると思いますが、バレエはセリフがないからこそ、受け手である観客の解釈にゆだねられます。音楽と踊りで表現される世界は無垢で美しく、恋愛に悩む女性であればバレエ『ロミオとジュリエット』の舞台を鑑賞するとき、ヒロイン・ジュリエットの悲しい気持ちに共感し、切なくなることでしょう。
恋愛に悩む女性におすすめの『ロミオとジュリエット』の楽しみ方・見どころ・バレエ音楽をご紹介します。
1.『ロミオとジュリエット』悲劇のヒロイン──知るほど泣けるジュリエット
ヴェローナにあるジュリエットのバルコニー
ロミオとジュリエットの登場人物・あらすじ
ヴェローナにあるジュリエット像
まずは『ロミオとジュリエット』の登場人物とあらすじをご紹介します。
ロミオとジュリエットの舞台は、14世紀のイタリアの都市・ヴェローナ。「モンタギュー家」と「キャピュレット家」という2つの名家の対立を中心に物語は進んでいきます。
ロミオとジュリエットの主な登場人物
- モンタギュー・・・モンタギュー家の当主
- モンタギュー夫人・・・モンタギューの妻
- ロミオ・・・モンタギューの一人息子
- ベンヴォーリオ・・・モンタギューの甥で、ロミオのいとこにあたる
- キャピュレット・・・キャピュレット家の当主
- キャピュレット夫人・・・キャピュレットの妻
- ジュリエット・・・キャピュレットの一人娘
- ティボルト・・・キャピュレット夫人の甥で、ジュリエットのいとこにあたる
- ロザライン・・・ジュリエットのいとこ、ロミオの元想い人
【その他】
- パリス・・・ジュリエットの婚約相手
- マーキューシオ・・・ロミオの親友
ロミオとジュリエットのあらすじ
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ときは14世紀、イタリアの都市・ヴェローナでは、「モンタギュー家」「キャピュレット家」の名家が対立しており、抗争が絶えませんでした。
ある日、モンタギューの一人息子・ロミオは、いとこのベンヴォーリオ、親友のマーキューシオとともに、キャピュレット家の舞踏会に忍び込みます。仮面をつけて素性を隠すロミオとキャピュレットの一人娘・ジュリエットは、互いに一目見ただけで恋に落ちてしまいます。
舞踏会の後、抑えきれない想いを抱えたロミオとジュリエットは、バルコニーの下で想いを伝え合い、愛を誓うのです。
しかし、ロミオとジュリエットは、犬猿の仲である「モンタギュー家」「キャピュレット家」の人間同士。結婚は許されません。そこで、ロミオとジュリエットはひそかに教会で結婚式を挙げました。
その直後、ジュリエットのいとこ・ティボルトがロミオの親友・マーキューシオに喧嘩をしかけ、争いの末にマーキューシオを殺してしまいます。親友の死に逆上したロミオは、ティボルトを殺してしまうのです。
殺人をおかしたロミオは、ヴェローナから追放されることが決まります。悲しみに暮れるジュリエットは、修道士のアドバイスのもと「仮死状態になる薬を飲み、周囲を騙してロミオと駆け落ちする」という方法をとろうとします。
ジュリエットの葬儀の日。行き違いによりジュリエットが仮死状態であることを知らされなかったロミオは、ジュリエットの後を追い、ジュリエットのそばで自害します。
目を覚ましたジュリエットは、ことの成り行きを知り、絶望のもと自害してしまいます。
若い2人の死の真相を知った両家は、和解することを決意するのでした。
ロミオとジュリエットそれぞれの人柄
『ロミオとジュリエット』のあらすじをご紹介したところで、この悲しい物語の主人公、ロミオとジュリエットそれぞれの人柄を深掘りしていきたいと思います。
なんらかの壁を抱えながら恋している女性は、きっとジュリエットにシンパシーを感じるでしょう。
1-3-1.ジュリエットの人柄
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ジュリエットはキャピュレット家の一人娘で14歳です。今の感覚では、14歳はまだまだ子どもといった感じですが、物語の中では結婚適齢期の女性として扱われています。
ジュリエットはまだ恋を知らず、婚約者のパリスにも興味を示しません。乳母をからかうシーンがあったり、パリスを拒否したりと子どもな一面も。
しかし、舞踏会でロミオと出会ったあとは、全力で愛に身をそそぎ、最後には命を落としてしまいます。頭では「結ばれない恋」とわかっていても、ロミオと一緒にいるために家も身分も捨ててしまうほど。とても情熱的で行動力があり、一途な女性です。
仮死状態から覚めて、ロミオの死を知った瞬間は希望が絶望へと変わる瞬間。ジュリエットの悲しみが痛いほど伝わり涙なしでは見られません。
1-3-2.ロミオの人柄
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ロミオはモンタギュー家の一人息子で16歳。ジュリエットよりやや年上です。
物語の冒頭、ヴェローナの街でモンタギューとキャピュレットの若者同士が喧嘩していてますが、ロミオは参加しません。家同士の対立には興味のない、恋に悩む男性として登場します。
ロミオがはじめに恋をしていたのは、ジュリエットのいとこロザライン。しかし、ロザラインからは相手にされておらず悩んでいるのです。
ロミオがキャピュレット家の舞踏会に参加したのは、実はロザラインに会うためでした。そこでジュリエットに出会ってからは、運命の人を見つけたとばかりに想いを伝えようとします。
有名なバルコニーのシーンでは、ジュリエットに熱い想いを伝えるロマンチックな男性です。恥ずかしがるジュリエットをエスコートする大人な一面も見せています。しかし、その翌日は、友人のマーキューシオやベンヴォーリオに「どうかしたのか?」と聞かれるほど浮かれた様子に。恋に落ちると一直線といった感じですね。
家同士の対立にはあまり興味のない穏やかなロミオですが、親友のマーキューシオがティボルトに殺されたシーンではカッとなってティボルトを殺してしまったり、ジュリエットの墓場にいたパリス(ジュリエットの婚約者)を殺してしまったりと、感情的な一面ももちあわせています。
またヴェローナ追放が決まったあとのロミオとジュリエットの対応はやや異なります。ロミオは追放を受け入れ、胸が引き裂かれる思いでジュリエットと別れますが、ジュリエットはあきらめず仮死状態になることを決意するなど、ジュリエットのほうが困難に立ち向かう姿勢が強いように見えます。
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