≪レビュー≫シュツットガルト・バレエ団の輝けるスターたち 2022年3月19日(土)(Aプロ)
一流カンパニーの底力、そして希望の『ボレロ』
カンパニーの来日公演で全幕ものを上演する予定だったのが、少数の選抜メンバーによるガラ公演となった。
それでも厳しい状況下、来日して3種のプログラムを上演してくれた彼らには感謝しかない。
フォーサイス振付『ブレイク・ワークス1』より “プット・ザット・アウェイ・アンド・トーク・トゥ・ミー”を踊ったアグネス・スー、マッケンジー・ブラウン、マッテオ・ミッチーニの3人はさらりと踊り通していたが、フィジカルの強さに感心。
アレッサンドロ・ジャクイントが振り付けた『やすらぎの地』も楽しく、現代作品を達者に気負わず踊りこなすダンサーに好感をもった。
エリサ・バデネスとフリーデマン・フォーゲルによる『うたかたの恋』より第2幕のパ・ド・ドゥは、視線の行方だけで緊張感が高まるなど、演技の妙が光った。
『うたかたの恋』第2幕のパ・ド・ドゥ
エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル
それにしても『椿姫』『オネーギン』『うたかたの恋』とドラマティック・バレエを代表する作品をレパートリーに持ち、それぞれを踊れるダンサーが所属している。
このプログラムのラインナップからは、カンパニーの底力を見せつけられた。
最後はベジャール振付の『ボレロ』。フリーデマン・フォーゲルが踊る『ボレロ』は初見だったが、しなやかでやわらかい動きと無心に踊るさまはとても前向きな気持ちにさせてくれた。
フォーゲルの『ボレロ』は、子どものようにまっすぐで無色でイノセント。純粋さは神々しくもあり、観る者に希望を抱かせる説得力があった。
『ボレロ』フリーデマン・フォーゲル
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