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レビュー:ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 オペラシティシリーズ第129回定期演奏会 2022年10月9日(日)東京オペラシティコンサートホール

ジョナサン・ノット指揮、東京交響楽団
オペラシティシリーズ第129回定期演奏会

2022年10月9日(日)東京オペラシティコンサートホール
どれも魅力的な3作品、モーツァルトのコンチェルトにはPiano duo Sakamoto を迎えて

ストラヴィンスキー『ダンス・コンチェルタンテ』、シェーンベルク『弦楽四重奏と管弦楽のための協奏曲』、モーツァルト『2台のピアノのための協奏曲』変ホ長調 K.365(24’)という個性の際立つ3作品を上演。

踊りを意識した弾んだ感じに好感

指揮:ジョナサン・ノット ©︎K.Miura

プロットレス・バレエを想定して作曲されたストラヴィンスキーの『ダンス・コンチェルタンテ』。実際に振り付けられバレエ作品としても上演されたことがあるが、今回も5つの部分それぞれリズムが強調され、バレエ音楽としても楽しめた。特に2番目の「パ・ダクシオン」の豊かな表情、4番目の「パ・ド・ドゥ」はバレエにおける最大の見せ場であることを意識しているのが感じられた。ノットがどのくらいバレエ音楽であることを意識していたのかはわからないが、全体にリズムが立って変化に富んでいた。新たに振り付けが施され、バレエとして上演されることを期待してしまうような楽しさだった。

しっかり聴かせてくれたソリストたち

ヘンデルの『合奏協奏曲』作品6-7をシェーンベルクが編曲したこの作品、原曲の編成より大きくスケールアップした編成になっている。弦楽四重奏には東響の首席ソリスト、小林壱成(vn)、服部亜矢子(vn)、武生直子(va)、伊藤文嗣(vc)が登場。この4人がオーケストラによく溶け込んでいるのだけれど、時々エッジの効いた音を繰り出すのがとても良かった。新たな音響が加わり、ヘンデルであってヘンデルでない、不思議で心地よい音響を楽しめた。

記憶しておきたい美しい瞬間

Piano Duo Sakamoto ©︎FUKAYA Yoshinobu/aura Y2

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モーツァルトの『2台のピアノのための協奏曲』変ホ長調 K.365(24’)には坂本彩・坂本リサの姉妹デュオ、Piano duo Sakamoto が登場。第70回ARDミュンヘン国際音楽コンクールピアノデュオ部門で第3位入賞・聴衆賞を受賞している。ノットとの相性も良く、ノットもリードしすぎず、二人の演奏に委ねていた。特に第3楽章では自由に戯れているような掛け合いが美しかった。この清潔でイノセントな演奏は年齢を重ねていくうちに変化していくもの。何十年後かにはまた異なる素晴らしい様相を呈するのだろうが、今この瞬間にしか出せないピュアな音に清められるような気持ちになった。ノット&東響のモーツァルトは上品で軽やか。坂本姉妹との相性も抜群で、演奏はあっという間に感じられた


ジョナサン・ノットとPiano duo Sakamotoの直近の公演

ジョナサン・ノット&東京交響楽団 歌劇『サロメ』

公演のプレビューはこちら→プレビュー: ジョナサン・ノット&東京交響楽団 歌劇『サロメ』11月18日(金)ミューザ川崎シンフォニーホール/11月20日(日)サントリーホール

2022年11月18日(金)、20日(日)
会場:18日(金)ミューザ川崎シンフォニーホール
20日(日)サントリーホール


開演:18日(金)19時、20日(日)14時
★ チケット料金
18日 6000円〜15000円
20日 4000円~15000円
詳しくは ↓
ミューザ川崎シンフォニーホール/歌劇「サロメ」特設ページ
東京交響楽団/18日公演ページ
       20日公演ページ


埼玉会館ランチタイム・コンサート 第55回
Piano duo SAKAMOTO(坂本彩・坂本リサ)

2023年2月3日(金)
会場:埼玉会館 大ホール

開演:12時10分
★ チケット料金
1,000円

詳しくは:埼玉県芸術文化振興財団


公演レビュー
インタビュー:坂本彩さん、坂本リサさん ピアノデュオ(2022年7月)

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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