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≪レビュー≫C×Baroque シー バイ バロック大塚直哉が誘うバロックの世界 vol.1バロックの生まれた時〜オペラの誕生〜 2022年3月26日(土)神奈川県民ホール(小)

C×Baroque シー バイ バロック大塚直哉が誘うバロックの世界 vol.1バロックの生まれた時〜オペラの誕生〜
2022年3月26日(土)神奈川県民ホール(小)

バロック音楽の魅力を紹介するシリーズスタート 
楽しませる工夫が随所に

神奈川県民ホールでチェンバロの魅力を探る講座を続けてきたチェンバロ奏者大塚直哉による、新しいシリーズの第1回公演が行われた。
「大塚直哉が誘うバロックの世界」と題し150年ほど続いたバロック音楽を紹介する全5回シリーズで、年に1回行われ2026年まで続く。

今回のテーマは、バロックは声楽から始まったということで「バロックの生まれた時〜オペラの誕生」。

©️Tomoko Hidaki

前半はチェンバロのソロ、フレスコバルディの『トッカータ集第1巻』のトッカータで始まり、バロックが始まった17世紀イタリア、カッチーニの『新音楽』から『麗しのアマリリ』、モンテヴェルディのオペラ『オルフェオ』、『ポッペアの戴冠』、『アリアンナ』から名場面を。

後半は18世紀に活躍したヘンデルのオペラ『リナルド』、『エジプトのジュリアス・シーザー』からの曲をチェンバロソロ(ヘンデルのパッサカリアト短調とシャコンヌト長調)を挟んで披露した。

舞台にはソプラノの鈴木美登里、中山美紀と大塚の3人だけなのに、歌手2人はかわるがわるさまざまな役柄を器用に歌いこなし(衣装もけっこう変えていた)、名場面集だからということもあるが、内容の濃い非常に満足度の高いステージを繰り広げた。

鈴木美登里、大塚直哉 ©️Tomoko Hidaki

中山美紀、大塚直哉 ©️Tomoko Hidaki

大塚のわかりやすく的確な解説、そして選曲と構成によるところが大きいのだと思う。
演奏前に語られる作品の情報は聴く者の記憶に残り、演奏が始まった途端に舞台はすぐにオペラの描く世界へと変貌する。チェンバロと歌手2人でこんなに豊かなオペラ鑑賞ができることに幸せな気持ちになった。

後半最初に、笙の宮田まゆみを迎え、大塚と共に一柳慧作曲『笙とハープシコードのための「ミラージュ」』を演奏した。
不思議な共鳴、反発するのでなく平和に共存している音世界に引き込まれた。

宮田まゆみ、大塚直哉 ©️Tomoko Hidaki

©️Tomoko Hidaki

全員で演奏していなかったからとアンコールで全員が演奏したバッハのコラール『主よ、人の望みの喜びよ』では宮田は笙でメロディを奏で、とても新鮮だった。

このシリーズ、年に一度ではあるが、神奈川県民ホールのチェンバロの音の美しさ(大塚の演奏のおかげ)を存分に楽しめる。次回も楽しみである。

文:結城美穂子


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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