ロマンチックバレエの名作『ジゼル』のストーリーや見どころ、演出による違いを解説
ロマンチックバレエの名作『ジゼル』は、現存する最古のバレエと考えられています。1841年の初演以降、さまざまな振付家が改訂を重ね、現代に受け継がれています。
本記事では『ジゼル』のストーリーや見どころを紹介します。
演出による違い、ジゼルのもととなった「伝説」などについても深掘りするので、バレエ好きの方もきっと楽しめるはずです。
2023年10月には、新国立劇場バレエ団による公演も予定されています。本記事をきっかけに『ジゼル』について深く学んでいきましょう。
1. バレエ『ジゼル』のあらすじ
ジゼルの舞台はシレジア(現ドイツ~ポーランド)のとある村。踊りが大好きな村娘のジゼルは、ロイスという青年と恋をしています。
しかし、実はこのロイス、「アルブレヒト」という名前の貴族で、貴族同士の婚約者のいる身だったのです。ロイスは身分を偽ってジゼルと恋をしているのでした。
ひょんなことから、ジゼルや村の人はロイスの正体を知ります。
心臓の弱いジゼルはショックで命を落としてしまい……。物語は、ジゼルのお墓がある森の中へと続きます。
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バレエ『ジゼル』の登場人物
バレエ『ジゼル』の登場人物
まずは、バレエ『ジゼル』の登場人物をご紹介します。
踊りが大好きな村娘。青年ロイスと恋をしている。
心臓が弱く、母親から踊ることを禁止されている。
貴族の青年。バチルドという婚約者がいるが、身分を偽ってロイスと名乗り、村娘ジゼルと恋をしている。
村の森番。ジゼルに片思いをしている。※演出によってはハンスと呼ばれる
アルブレヒトの婚約者
ウィリ(精霊)の女王
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バレエ『ジゼル』のストーリー
バレエ『ジゼル』のストーリー
ジゼルは全2幕のストーリーです。
演出による違いはあるものの、代表的なバージョンのストーリーはおおむね以下のとおりです。
1幕・2幕で起こる出来事について、それぞれ見ていきましょう。
【第1幕】
シレジアのとある村
舞台はシレジア(現在のドイツ、チェコ、ポーランドを跨ぐ地域)のとある村。踊りが大好きな村娘ジゼルは、青年ロイスと恋をしています。
しかし、実はこのロイス、貴族のアルブレヒトが村人に扮した人物でした。アルブレヒトにはバチルドという婚約者もいますが、ジゼルや村の人たちには黙っています。
そんなことを知らないジゼルはロイスと村の広場で踊ります。花占いをしたり、腕を組んで踊ったりとまさに幸せなカップルそのものです。
村の森番であるヒラリオンは、面白くありません。彼はジゼルに片思いをしているのです。
村は収穫シーズン真っ盛り。ジゼルとロイスも村の人とともに収穫を祝って踊ります。
ある日、大公の令嬢であるバチルド一行がジゼルの村に立ち寄ります。ジゼルはバチルドのドレスにうっとりし、布に頬ずりするなど惚れ惚れとバチルドを見つめます。バチルドもジゼルを気に入り、ネックレスをプレゼントしました。
そんな折、ヒラリオンがロイスの剣を持ち出し、ロイスが実は貴族アルブレヒトであることを明かします。そして、アルブレヒトの婚約者がバチルドであることも明かされるのです。
大好きなロイスが自分を騙していたこと、婚約者がいること、ロイスとは結婚できないことなど、さまざまなことにショックを受けたジゼルは発狂し、息絶えてしまいます。
【第2幕】
森の中の墓場
舞台は変わり、夜の森。
ヒラリオンがジゼルのお墓にやってきましたが、薄気味悪さを感じ、逃げ出しました。この森は結婚前に死んでしまった若い女性の精霊「ウィリ」が集まる場所だったのです。
ジゼルがウィリの女王ミルタに呼ばれ、ウィリに仲間入りします。
その頃、アルブレヒトもジゼルのお墓にやってきました。ジゼルの気配を感じたアルブレヒトは、許しを乞うように踊ります。
その後、隠れていたヒラリオンがウィリたちに見つかってしまいます。ウィリは死ぬまでヒラリオンを踊らせ続け、ついには沼に突き落とすのでした。
アルブレヒトもウィリたちに見つかってしまいました。ヒラリオン同様、ウィリたちはアルブレヒトを死ぬまで踊らせ続けようとしますが、ジゼルが必死に命乞いをし、なんとか一命を取り留めました。
そうこうしているうちに、森に夜明けがやってきます。ウィリたちは夜しか動けません。一命を取り留めたアルブレヒトを残し、ミルタやウィリがお墓へ帰って行きます。
ジゼルもアルブレヒトに別れを告げ、お墓へと帰って行くのでした。
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