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ロマンチックバレエの名作『ジゼル』のストーリーや見どころ、演出による違いを解説

5. バレエ『ジゼル』の見どころ

バレエ『ジゼル』は演劇的に進む第1幕と、ザ・クラシックといった様式の第2幕で趣が大きく異なります。

第1幕・第2幕の見どころについて見ていきましょう。

5.1
恋のときめきを表す1幕冒頭

こちらは、第1幕の冒頭におけるジゼルの登場シーンです。ロイスがドアをノックする音を聞いて、ジゼルが家から飛び出してきます。

軽やかに踊っており、このあとの悲劇なんて予想できないような幸せな様子ですよね。また、ロイスを探すシーンや、出会って恥ずかしそうにする様子が可愛らしいシーンでもあります。

このシーンでは、花占いをするシーンが出てきます。のちほどの狂乱の場でも花占いをする仕草が出てくるため、このシーンの「幸せな花占い」とのコントラストに悲しさを覚えてしまいます。

5.2
若手ホープが踊る「ペザントの踊り」

こちらは、収穫を祝う踊りとして踊られる「ペザントの踊り」です。ペザントとは農民のことです。

通常パ・ド・ドゥ(男女2人組みの踊りのこと)の形で踊られることが多いのですが、演出によっては4人組、6人組で踊られることもあります。

例えば、英国ロイヤルバレエ団がレパートリーにしているピーター・ライト版は、6人で踊られるため「ペザントのパ・ド・シス」となります(シスはフランス語で6の意味)

ペザントのVaはコンクールでも人気のVaのひとつです。主役のジゼル、アルブレヒト以外でソロを踊るのはペザントのみとなっています。

なお、日本のコンクールでよく踊られているペザントのVaはアダンの作曲ではなく、ヨハン・ブルグミュラー作曲のものです。

5.3
演技力に涙が出る「狂乱の場」

第1幕における最大の見どころは「狂乱の場」です。

アルブレヒトとバチルドが婚約者であることにショックを受けたジゼルは、バチルドからもらったネックレスを捨ててしまいます。

そこから徐々に狂っていくジゼル。花占いの真似をしたり、アルブレヒトの剣を振り回したりと、ジゼルが狂っていく様子は見ているこちらも胸が痛くなるほどです。

約8分にわたるこの狂乱の場には踊りはほとんどなく、ジゼル役のバレリーナの演技力が光る場面。ジゼルが命を落とす瞬間は何度見ても涙があふれます。

実はこの「狂乱の場」、ジゼルの初演が行われた19世紀では音楽界で流行していた演出でした。例えば、オペラ『ランメルモールのルチア』(1835年初演)、『ハムレット』(1868年初演)、『清教徒』(1835年初演)などでも狂乱の場面が取り入れられています。

5.4
ウィリの女王「ミルタ」のソロ

第2幕の冒頭、ウィリの女王ミルタが約4分半にわたり踊るソロは圧巻です。

細かいパ・ド・ブレ(トゥシューズで立ったまま進む動きのこと)は、人間ではないウィリの存在を強く印象づけます。

力強いジャンプなど女王の威厳にあふれた踊りも見どころです。

5.5
ぴったりそろった様子が圧巻!ウィリたちの踊り

精霊として個性を持たないウィリたちは、立ち位置、脚を上げる角度、顔の向きなど、全ての動きをぴったりそろえなければいけません。

多々ある見せ場の中でも特に有名なのが、ウィリたちの踊りの後半、アラベスク(脚を後ろに上げるポーズのこと)で舞台を横断する場面です(動画8:53〜)。

美しい動きと一糸乱れぬフォーメーションに、拍手が湧き起こることもあります。

5.6
体重を感じさせないジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥ

ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥは、第2幕の最大の見どころといってもよいでしょう。

上記の動画は、名ダンサー スヴェトラーナ・ザハロワとロベルト・ボッレによるパ・ド・ドゥです。

体重を全く感じさせないリフトはまさに超絶技巧。命を落とし、ウィリとなったジゼルの様子をリフトで表しています。

また、ミルタやウィリたちに引き剥がされながらも懸命にアルブレヒトを守ろうとするジゼルの姿が涙を誘いますよね。

アルブレヒトは、このパ・ド・ドゥの中で、ジゼルに許しを乞うようにVaを踊ります。このVaはコンクールでも非常に人気です。

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バレエ歴21年・とあるバレエ教室の現役生徒のまいです! 大好きなバレエの魅力や作品についてご紹介していきます♩

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