ウンベルト・エーコ『ヌメロ・ゼロ』×ベートーヴェン『交響曲第7番2楽章』小説を彩るクラシック#20
第2楽章の、悲しみを背負っているように重く響く反復は、徒労に終わるヌメロ・ゼロ発刊を予見しているように響き合います。
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エーコは次のように語ります。
「私たちの存在は私たち自身の記憶にほかならない。記憶こそ私たちの魂、記憶を失えば私たちは魂を失う」
桟敷席でベートーヴェンを聴いたマイアの記憶が読者の胸に迫るのは、こういうことなのでしょう。
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どのようなセンセーショナルなニュースも、個人の記憶を超えて作用することはない、自分で体験したものに勝るものはないんだ、とエーコは伝えているように感じます。
情報が溢れ、スピーディに届く現代だからこそ、本や音楽にできることがあるのかもしれません。
参考文献
ウンベルト・エーコ(2016年)『ヌメロ・ゼロ』
中山エツコ訳 河出文庫
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