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新国立劇場バレエ団2022/2023シーズン 開場25周年記念公演『ジゼル』〈新制作〉制作発表 (2022年10月3日)

新国立劇場バレエ団2022/2023シーズン
開場25周年記念公演『ジゼル』〈新制作〉
制作発表 (2022年10月3日)

左から池田理沙子、木村優里、吉田都、アラスター・マリオット、福岡雄大、速水渉悟

新国立劇場は2022年10月10日に開場25周年を迎える。シーズン開幕の演目は『ジゼル』。英国ロイヤル・バレエ団でプリンシパルとして活躍した吉田都舞踊芸術監督が、監督就任2年目となる今シーズンで初めて演出を手掛けることで話題となっている。

改訂振付には吉田と何度も共演した経験のある元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル・キャラクター・アーティストの振付家、アラスター・マリオットを迎えた。
今回、舞台美術と衣裳も新たになり、以前、新国立劇場バレエ団の『火の鳥』と『アラジン』を手がけた舞台美術家のディック・バードが担当する。

制作発表にはマリオットも登壇、そして主役を務める4名のダンサー(木村優里、福岡雄大、池田理沙子、速水渉悟)も登場し作品についての期待と意気込みを語った。

芸術監督にとって大切な作品『ジゼル』

吉田都

 最初に吉田が自身の『ジゼル』への思いを語った。

「サー・ピーター・ライト(※1)の『ジゼル』で育ちました。若い時に主役をいただき、一から教えていただいた大切な作品です。サー・ピーターは最初は『ジゼル』にはあまり興味を抱けなかったけれど、ガリーナ・ウラノワ(※2)の『ジゼル』を見て、作品にのめり込むようになったとおっしゃっていました。ウラノワの著書の中に『ジゼル』には詩情、純潔、人間の知性、信頼、勇気があると書いています。だから観客に力強いメッセージを伝えられるのではないかと感じます」

※1 サー・ピーター・ライト
1977~1995年までバーミンガム・ロイヤル・バレエ団の芸術監督を務めた。吉田は英ロイヤル・バレエ団に入る前、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団に所属し、プリンシパルとして活躍していた。
※2 ガリーナ・ウラノワ
ソ連時代のボリショイ・バレエで16年間、最高位のプリマ・バレリーナの地位にあった。

さらに、「『ジゼル』のように原形をとどめてこれだけ長く踊り継がれてきた作品はそうなく、現代でも共感できる部分がたくさんある」と述べ、「ストーリーが伝わる演技、自然な表現を突き詰める」とも語った。

ブリティッシュ・スタイルを受け継ぐ新しい『ジゼル』

アラスター・マリオット

 改訂振付を担当するマリオットもピーター版『ジゼル』で育っている。ピーターのコピーではなく、下準備をしっかりして新たなブリティッシュ・スタイルの『ジゼル』を誕生させるべくスタッフがみな協力して取り組んでいるとのこと。

 マリオットは日本にやってくるまでに調査したこと、構想を練ったアイデアを書き留めた分厚い「バイブル」を抱えて振付指導を行っている。彼は古典作品を新たに振り付ける機会を与えられたことに感謝し、「吉田が求めるものを具現化しようとしている、同じバックグラウンドを持つことから同じ風景を見つめていることに安心した」と語った。

主役を踊るダンサーたちの思い

左から木村優里、福岡雄大、池田理沙子、速水渉悟

主役を務めるダンサーとして木村優里、福岡雄大、池田理沙子、速水渉悟も登壇し、それぞれ今回の新制作の取り組みを語った。

プリンシパルに昇格して初めての作品『ジゼル』でジゼル役を踊る木村は、「マリオットさんのご指導で、キャラクター一人ひとりの人物像が明確になったと感じています。よりナチュラル、日常に近いものになっています。雄大さんと組ませていただくのは2回目で、明確なビジョンを示していただき本当に感謝しています」と述べた。

続いて福岡「目線の配り方など小さなことだけれど舞台で見ると効果的なことを教えていただいています。『ロミオとジュリエット』『マノン』のような英国風な演劇的要素が強い作品になっています」

公演日によって主演も、第1幕のペザント・パ・ド・ドゥも踊る池田と速水。

池田「ペザント・パ・ド・ドゥではテクニカルな面でもハードな構成になっていますが物語が進む中で盛り上がるシーンの一つなので二人で頑張っていきたいと思います。速水さんとはお互いに初挑戦なので、毎日細かく話し合いながらリハーサルに臨んでいます」

速水「大切なところは残しながら自分なりのアルブレヒトを考えてリハーサルに臨んでいます。ただ見つめ合うシーンでも何を考えているか、どういった仕草をすると観客に伝わりやすいかを話し合いながら作っています。ぺザントではキャラクター性も全く違うので、ぜひどちらも見にきてください」

吉田監督にゆかりのあるスタッフが集結し、ブリティッシュ・スタイルを正統に踏襲する作品ができあがろうとしている。振付、演技だけでなく、舞台美術、装置、衣裳に至るまですべての面においてブリティッシュ・スタイルが貫かれている。今回は舞踊譜としても残される。新国立劇場バレエ団が世界に向けて発信する新しい『ジゼル』、あと少しで全貌が明らかになる。

公演ポスターおよびリハーサル映像

新国立劇場バレエ団『ジゼル』〈新制作〉

2022年10月21日(金)~30日(日)
会場:新国立劇場オペラパレス

開演:21日(金)19時、22日(土)13時/18時、23日(日)14時
   27日(木)14時、28日(金)19時、29日(土)13時/18時、30日(日)14時
★ チケット料金
4400円〜14300円

詳しくは:新国立劇場


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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