最後のロマンティック・バレエ『コッペリア』について解説|23年2月に新国立劇場バレエ団が上演予定
バレエ『コッペリア』は、美しい人形「コッペリア」をめぐって巻き起こる物語です。
「最後のロマンティック・バレエ」といわれるこの作品は、1870年の初演以降、現代まで愛され続けています。2023年2月には、新国立劇場バレエ団でローラン・プティ版の上演が予定されています。
この記事では、バレエ『コッペリア』のあらすじや原作、演出家による違いなど作品を観るのがもっと楽しくなる知識をまとめました。
見どころについても詳しく紹介するので、観たことがない方も鑑賞予定の方も、本記事をきっかけに『コッペリア』についての知識を深めてみてください!
1. バレエ『コッペリア』のあらすじ
まずは『コッペリア』のあらすじや登場人物を紹介します。
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初めに早わかりあらすじを紹介
初めに早わかりあらすじを紹介
バレエ『コッペリア』は、村の人気者スワニルダとその恋人フランツ、村の人形師コッペリウスを中心に巻き起こるストーリーです。
コッペリウスが作った美しい人形「コッペリア」を本物の人間と勘違いしたスワニルダが友人たちとコッペリウスの家に忍び込みます。すぐにコッペリウスに見つかってしまい、友人たちは逃げますが、スワニルダは逃げそびれてしまいました。
そこで、スワニルダはコッペリアのふりをすることに……。
スワニルダ扮するコッペリアが動くと「人間になった!」と信じるコッペリウス。そこに、スワニルダ同様、コッペリアを人間と信じたフランツがやってきて、事態はもっと大変なことに……!
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バレエ『コッペリア』の登場人物
バレエ『コッペリア』の登場人物
『コッペリア』の登場人物を紹介します。なお、演出により細かい設定は異なることがあります。
村の人気者の女の子。フランツの恋人。
村の青年。スワニルダの恋人。
村の人形師の老人。変わり者として、村では煙たがられている。
コッペリウスが作った美しい自動人形
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バレエ『コッペリア』のストーリー
バレエ『コッペリア』のストーリー
バレエ『コッペリア』は全3幕です。演出により多少の違いはありますが、ストーリーはおおむね以下のとおりです。
【第1幕】
村の広場
舞台は、ポーランドの地方の小さな村です。
村の広場からは、コッペリウス邸の2階ベランダに座って本を読むコッペリアの姿が見えます。
青年フランツは、最近この美しいコッペリアが気になって仕方ありません。手を振ったり、投げキッスをしてみたりとコッペリアの気を引こうとしています。
その姿を家の中から見たフランツの恋人スワニルダは怒って、フランツと喧嘩になってしまいます。
そこへ村長がやってきて、明日、領主が新しい鐘を寄贈し、それに合わせてお祭りが行われることを告げました。さらに、そのお祭りのときに結婚した娘にはお祝いのお金が渡されることもスワニルダたちに告げます。
スワニルダはフランツとの相性を占おうと、麦の穂を鳴らしてみます。この地方には、麦の穂が鳴ると恋が成就するという言い伝えがあるのです。
村の人々に見守られながら、スワニルダとフランツは麦の穂を手に踊ります。スワニルダには麦の穂の音が聞こえますが、フランツには聞こえません。
スワニルダと友人の踊りや、村の人々のチャルダッシュが踊られると、村の人々はそれぞれ帰路につきます。
誰もいなくなった広場で、コッペリウスは村の若い男性たちにからまれてしまいます。そして、そのときに家の鍵を落としてしまうのです。
その後、スワニルダと友人たちが広場に出てきて鍵を見つけます。好奇心旺盛なスワニルダは「コッペリウス邸に忍び込もう!」と提案し、友人たちとコッペリウス邸の中に入っていきます。
【第1幕 第2場】
コッペリウスの家の中
コッペリウスの家の中、おそるおそる足を進めるスワニルダと友人たちは、コッペリアを見つけます。
スワニルダたちはコッペリアに挨拶をするのですが、コッペリアは何も反応しません。その反応から、ついにコッペリアが人間ではなく人形であることを知るのです。
すっかり安心したスワニルダたちは、近くにあった人形で遊び始めます。
そのとき!コッペリウスが帰ってきました。友人たちは慌てて逃げましたが、スワニルダは逃げそびれてしまいました。
しばらくすると、次はコッペリウス邸の2階の窓から、ハシゴを使ってフランツが忍び込んできました。
コッペリウスは、フランツの魂を抜き取り、コッペリアに命を吹き込もうと考え、酒を飲ませてフランツを眠らせます。その間、隠れていたスワニルダは、コッペリアの服を着てコッペリアになりすまします。
コッペリウスの呪文に合わせて、スワニルダ扮するコッペリアがカクカクと動き出すと、コッペリウスは感激します。最初はカクカクとした動きですが、徐々になめらかに動き出し、さまざまな踊りを披露します。
そうしながらも、スワニルダはフランツを起こそうと必死です。
ついに、スワニルダはフランツを起こすことに成功し、コッペリアが人形であることも明かしてコッペリウス邸から2人で逃げ出します。
コッペリアが人間になったのではなかった事実を知ったコッペリウスは深く落胆します。
【第2幕】
村の領主の庭園〜村の祭り〜
舞台は村の領主の庭園。領主が村に新しい鐘を寄贈したことを記念してお祭りが開かれています。
スワニルダとフランツは仲直りし、結婚することを領主に伝え、お祝い金をもらいました。
そこに深く落胆し、コッペリアを抱きかかえたコッペリウスが通りかかります。そこで、事情を聞いた領主がコッペリウスにお金を渡すとすっかり機嫌を直すのでした。
その後は「時のワルツ」「あけぼの」「祈り」「仕事」「結婚」「戦い」、スワニルダとフランツが踊る「平和のパ・ド・ドゥ」などでお祝いが盛り上がり、舞台は幕を閉じます。
なお、演出によっては、スワニルダらがもらったお祝い金をコッペリウスに渡すことで和解したり、スワニルダらの謝罪や村長の仲裁で事が収まったりするバージョンや、コッペリアが命を得て実際に動き出したり、コッペリアがバラバラに壊れてしまったりする結末もあります。
演出によって結末が大きく異なるのも、コッペリアの特徴のひとつです。
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