モーツァルト『魔笛』 初めてのオペラにもぴったりの愉快な冒険物語!

2022年9月16日から11月16日までの2ヶ月間、新国立劇場デジタルシアターはオペラ『魔笛』を無料配信しています!
一流の劇団による名作オペラを無料視聴できるこの機会に、ご自宅のパソコンなどから気軽に楽しみましょう。
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/6_023897.html
 
また、11月にはハンガリー国立歌劇場の来日ツアー公演も予定されています。
https://concertdoors.com/post_concert/hungary_magicflute/


魔笛はオペラ初心者でも楽しめる冒険物語です。
演奏機会の多い有名曲があって親しみやすい一方で「世界で数人しか歌いこなせない」と言われる超絶技巧のアリアはオペラ慣れした人も圧倒されてしまう、多くの人に楽しんでもらえる演目です。

また、エジプト風の舞台になぜか日本風の衣装が登場したりといった、異国に対するある種の憧れと好奇がないまぜとなったエキゾチックな衣装や舞台装飾も見どころです!

日本語だと、子供が恐怖に震えるシューベルトの『魔王』や、悪魔の呪いがかかった銃弾に翻弄されるウェーバーの『魔弾の射手』などのように、”魔+なんとか”という名前は「悪魔の」という意味であることが多く、題名から受ける印象では怖いお話をイメージされるかもしれません。

ですが、本作は主人公の手助けになる「魔法の笛」の物語です。

『魔笛』の先読みあらすじ

『魔笛』夜の女王のステージデザイン 1815.
作:カール・フリード・シンケル
出典:Wikimedia Commons


タミーノ王子は、夜の女王から誘拐された娘パミーナを助けてほしいと依頼されるが、実は誘拐はパミーナを悪人の母親から引き離すための手段だった。

誘拐の真の理由を知ったタミーノ王子は、パミーナをさらった善良な神官ザラストロに試練を課せられ、見事成し遂げたことにより、パミーナとの仲を祝福される。

復讐に来た夜の女王は退けられる。ついでにお供のパパゲーノもお嫁さんと結ばれる。

魔笛|Die Zauberflöte

作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:エマヌエル・シカネーダー
初演:1791年9月30日、ヴィーデン劇場(ウィーン)
構成:2幕
演奏時間:約2時間40分

主な登場人物と、それぞれの行動原理

『魔笛』は複数の登場人物それぞれの思惑が舞台上で交錯することでストーリーが進む場面が多いため、誰が何をしようとしているかを登場人物ごとに押さえることで理解しやすくなります。

登場人物
タミーノ王子
主人公。一幕ではパミーナを連れ戻そうとするが、誘拐の正当な理由を知る。二幕ではパミーナと結ばれるため試練に臨む。
パパゲーノ
野鳥を捕まえる鳥刺し。タミーノのお供の道化。最初は虚言の罰で同行させられたが、タミーノを助け、自分もパパゲーナと結ばれる。
パミーナ
ヒロイン。夜の女王の娘で誘拐される。助けに来たタミーノと惹かれ合う。一幕では追われる身。二幕では母から殺人を命じられた上に、惹かれ合うタミーノとすれ違いがあり、追い詰められて自殺を試みる。
夜の女王
一幕では娘パミーナを誘拐されたので助けてほしいとタミーノを頼るが、実は悪役。二幕では神殿を襲おうとする。ザラストロのことを、亡夫が持っていた太陽の力を奪われたと思って恨んでいる。
ザラストロ
最初は誘拐犯の悪魔として扱われるが、実は善良な神官。パミーナを保護し、タミーノたちに試練を課す。夜の女王の亡夫から、太陽の力を託されている。
モノスタトス
神殿に仕える、醜く横暴な黒人奴隷頭。パミーナに横恋慕して追い回すが、脅迫して我が物にしようとしたことで追放され、ザラストロを裏切る。
パパゲーナ
老婆だがその正体は……

そのほか、夜の女王の三人の侍女、夜の女王の配下の三人の童子、ザラストロの神殿に仕える神官や従者などが登場する。

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オペラハーツの編集とライターを兼任。 小中でピアノ教室に通い、中高では吹奏楽部で打楽器を担当した程度の演奏経験。 クラシック以外にロック、EDM、ボカロ、ゲーム音楽なども好んで聴く。

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