プレビュー:新国立劇場オペラ『タンホイザー』1月28日(土)~2月11日(土・祝) 新国立劇場 オペラパレス
新国立劇場オペラ『タンホイザー』1月28日(土)~2月11日(土・祝) 新国立劇場 オペラパレス
歌会ならぬ歌合戦で2023年のオペラ鑑賞をスタート
人物相関もわかりやすく、ワーグナー作品でも人気の高いオペラ
親しみやすい旋律が満載、ワーグナー中期の名作です。この作品はワーグナー自ら台本も執筆しており、中世の「タンホイザー伝説」と「ヴァルトブルク歌合戦伝説」が元になっています。
「タンホイザー伝説」のストーリーは次の通りです。
ミンネゼンガー(吟遊詩人)であるタンホイザーは官能の女神ヴェーヌスの住む洞窟で愛欲に溺れる生活を送っていましたが、良心の呵責をおぼえローマ教皇に懺悔します。けれども到底叶わない条件を出され(つまり赦されないということ)、ヴェーヌスのところに戻る ── というお話です。
「ヴァルトブルク歌合戦伝説」は、宮廷歌人が歌って競い合い、敗者は命を落とすという残酷な真剣勝負のお話です。この二つの伝説を合体させてワーグナーは『タンホイザー』の物語を作りました。
『タンホイザー』では、ヴェーヌスのもとを去り帰還したタンホイザーを友人のヴォルフラムらは歓迎します。
ヴァルトブルク城で歌合戦が行われるということでタンホイザーも参加しますが、「愛の本質」というお題に対して清らかな愛の歌が歌われる中、彼は官能の愛、ヴェーヌスを讃える歌を歌ってしまい騎士たちから剣を向けられ罪人となってしまいます。
タンホイザーを愛している領主の姪エリーザベトは命乞いをし、領主はローマ教皇へ赦しを得るためにローマへ行くことをタンホイザーに命じます。
時が経ち、タンホイザーは赦しを得られないまま戻ってきます。再びヴェーヌスのところへ行こうとしているところにエリーザベトの亡骸が運ばれてきます。
エリーザベトは自己犠牲によってタンホイザーの罪を償い、タンホイザーは救われたのです。タンホイザーはエリーザベトの亡骸にすがり息絶える、というストーリーです。
愛をめぐる「聖」と「俗」、ワーグナーのオペラ『タンホイザー』〜あらすじや曲を紹介〜
どこかで聞いたことのあるメロディ、ゴージャスなキャスト
まずは序曲。単独で演奏されることの多い人気の高い曲です。さらに第2幕エリーザベトの「歌の殿堂」、第3幕ヴォルフラムの「夕星の歌」、同じく第3幕タンホイザーの「ローマ語り」等、聴き応えのあるアリアが続きます。
ステファン・グールド/サビーナ・ツヴィラク
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今回、タイトルロールのタンホイザーはヘルデンテノール(英雄的でドラマティックなテノール、特にワーグナー作品を得意とするテノールのこと)のステファン・グールドが歌います。彼は世界中のオペラハウスで活躍し、タンホイザー役を特に得意としており、今回約5年ぶりに新国立劇場に戻ってきます。非常に楽しみです。
エリーザベト役のサビーナ・ツヴィラクも、悲劇的なヒロインの演技に定評があり、欧米各地で活躍していて、期待が高まります。
アレホ・ペレス
指揮は新国立劇場初登場となるアレホ・ペレス、オーケストラは東京交響楽団です。
聖なる精神的な愛を尊ぶ気持ちと、肉欲の快楽に惹かれる気持ち、すなわちエリーザベトとヴェーヌスを行き来するタンホイザーの心理は誰にでも理解できます。中世の伝説を元に乙女の自己犠牲によって迷える魂が救済されるという奥深い物語、それを壮麗な音楽によって重層的なオペラに仕上げたワーグナーの芸術性を存分に楽しみたいものです。
舞台写真:新国立劇場「タンホイザー」より 撮影:寺司正彦
新国立劇場オペラ『タンホイザー』
2023年1月28日(土)~2月11日(土・祝)
会場:新国立劇場 オペラパレス
開演:
1月28日(土)、31日(火)、2月4日(土)、11日(土・祝) 14時
2月8日(水) 17時
★ チケット料金
1650円〜27500円
詳しくは:新国立劇場
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