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E.T.A.ホフマン『砂男』: バレエ『コッペリア』/オペラ『ホフマン物語』の原作紹介〜オペラの原作#04


関連公演

2023年2月23日(木・祝)〜26日(日)
新国立劇場バレエ団『コッペリア』
会場:新国立劇場 オペラパレス

開演
24日(金) 19:00
25日(土) 13:00/18:00
26日(日) 13:00/18:00

★ チケット料金
13,200円〜3,300円

詳しくは:新国立劇場バレエ団
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2023年3月15日(水)〜21日(火・祝)
新国立劇場オペラ『ホフマン物語』
会場:新国立劇場 オペラパレス

開演
15日(水) 18:30
17日(金) 14:00
19日(日) 14:00
21日(火・祝) 14:00

★ チケット料金
24,200円〜4,400円

詳しくは:新国立劇場 オペラ


オペラ/バレエと原作の相違点

オペラ/バレエと原作の相違点といえば、ストーリーもそうなのですが、最大の違いは全体を貫くトーンではないでしょうか。

オペラ『ホフマン物語』でのオランピア(オリンピア)は自動人形らしくカクカクと動き、アリアの途中で止まってしまい背中のネジを巻く演出が入るなど、コミカルに描かれています。

バレエ『コッペリア』は、陽気で朗らか。オリンピアに恋をした舞台もポーランドに設定されており、牧歌的なマズルカが物語を盛り上げます。

一方、原作は暗く不気味。ストーリーも明朗ではなく、謎は謎の幕を閉じます(ナターナエルはなぜ発狂したのか? コッペリウスとコッポラは結局同一人物だったのか?)

オペラ『ホフマン物語』
主人公ホフマンが経験した失恋の回想として、ホフマンの3つの小説が登場します。第二幕のモチーフが今回紹介した『砂男』です。コッペリウスに売りつけられた眼鏡によって、ホフマンには自動人形のオランピアが美しい人間の女性に見え恋をします。二人で踊るうちにオランピアは壊れてしまい、跳ね飛ばされたホフマンの眼鏡も壊れ、オランピアが自動人形であると気づいたホフマンは気を失ってしまいます。

バレエ『コッペリア』
スワニルダの恋人フランツは、老紳士コッペリウスの家の窓から見えるオリンピアに夢中です。怒ったスワニルダはオリンピアに会うためにコッペリウスの家に忍び込みます。オリンピアが自動人形だと分かって一安心したものの、コッペリウスが帰宅し、さらにそこへフランツまで来て大変なことに。スワニルダはオリンピアのふりをしてなんとか二人で脱出し、仲直りします。村のお祭りの中、二人の結婚が祝福されて幕が閉じます。


バレエ『コッペリア』の紹介記事はこちら ↓

E.T.A.ホフマンについて

法律家の家に生まれたホフマンは、幼少期から音楽と絵に熱中していました。ですが、中産階級の子弟としては無難な進路を選ばねばならず、法律の道に進み、その傍らで、作曲や指揮などの音楽活動を続けていました。

オペラ『ウンディーネ』の成功で、にわかに社交界の時の人、引く手あまたの人気作家となり、出版社からは注文が殺到し、矢つぎはやに作品を発表していきます。

ホフマンの自画像 出典:Wikimedia Commons


46歳という若さで亡くなるまで、ホフマンは70篇を超える小説を発表、その墓碑銘には「官にありて顕れ、詩人、音楽家、また画家として秀でたり」とあるように、芸術家として人生を全うしました。

なかでも、優れていたのは文学と音楽ということになりそうです。

ホフマンの文学作品にもとづく楽曲は、チャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』や、ヒンデミットのオペラ『カルディヤック』、ジャック・オッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』など、多数あり、ディレッタントの域を超えた芸術家であったことを証明しています。


E.T.A.ホフマン『くるみ割り人形とねずみの王さま』の紹介記事はこちら ↓


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1982年、福島県生まれ。音楽、文学ライター。 十代から音楽活動を始め、クラシック、ジャズ、ロックを愛聴する。 杉並区在住。東京ヤクルトスワローズが好き。

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