K-BALLET Opto 公開リハーサルレポート
Opto 公開リハーサル(2022年8月22日)
新プロジェクト「Opto(オプト)」K-BALLET のダンサーがコンテンポラリー作品を踊る!
Opto 旗揚げ公演
BunkamuraとK-BALLET が、K-BALLET のダンサーを基盤にして、同時代の、世界的に注目が集まっている振付家が振り付けたオリジナル作品に取り組むプロジェクトを立ち上げた。Opto(オプト)という名称で「新たな光」を意味する。
9月30日(金)、10月1日(土)にKAAT神奈川芸術劇場にて旗揚げ公演が行われる。公演は『プティ・コレクション』というタイトルがつけられている。
上演されるのは、現在、ブリティッシュ・コロンビアの芸術監督を務めているメディ・ワレルスキーの『プティ・セレモニー(小さな儀式)』(アジア初演)。
ヨーロッパで20年間活動し、レーゲンスブルク歌劇場のダンスカンパニーの芸術監督を務め、活動拠点を日本に移した森優貴が振り付けた『プティ・メゾン(小さな家)』(世界初演)。
そして同じくヨーロッパでネザーランド・ダンス・シアター(NDT)をはじめ20年間活動し、現在K-BALLET の舞踊監督である渡辺レイが振り付けた『プティ・バロッコ(小さな真珠、ゆがんだ真珠)』(世界初演)の3作品だ。
今回、『プティ・セレモニー』と『プティ・バロッコ』の2作品が通しで公開された。
完成度の高い『プティ・セレモニー』
『プティ・セレモニー』リハーサル クリックで拡大 ©K-BALLET COMPANY
男女15名が最初は音のない状態で、少しずつ動き出す。全員が揃って踊ったり、めいめい好き勝手に踊っているようだったり(決して好き勝手ではないが)、ソロがあり、男女ペアがあり、男性二人があり、舞台の片方でペアが踊って反対側に群舞が位置したり、とぐるぐると人の組み合わせ、位置、ダンスが変わり、目移りしてしまう。
そのうち舞台の両サイドに置かれている大きめの白いキューブを動かして全体がダイナミックなエネルギーをはらんでいく。息もつけぬ勢いに圧倒されっぱなしだった。
ダンサーたちはよく体が動いており、みなとても真剣で迫力があった。
ワレルスキーは世界のコンテンポラリー・ダンスを牽引している重要なカンパニーの一つ、NDTの次期芸術監督候補と言われている。気鋭の振付家の勢いのある作品をすでに自分の体に取り込めているK-BALLETダンサーの身体能力、センスに感心した。
エキサイティングな『プティ・バロッコ』
『プティ・バロッコ』リハーサル クリックで拡大 ©K-BALLET COMPANY
続く渡辺レイの作品『プティ・バロッコ』のテーマは「バロックとジェンダー」。均整の取れたルネサンスに続くバロック時代の芸術は、均整が崩れ「ゆがみ」に価値を見出した時代。「バロック=ゆがんだ真珠」をモチーフに女性の解放された自己表現を見せつける。そして男性が理想とする女性像ではない不完全なゆがんだ状態に美しさ、かわいらしさを見出そうとする。
女性6名、男性4名が登場。冒頭、女性ダンサーはハイヒールを履いて踊っている。ハイヒールを脱いでからは、早い展開で、終始女性は強い視線を投げかける。非常に力強い彼女ら一人ひとりを見つめてしまい、嫌でも意識してしまう。
実はこの作品で、本番では女性ダンサーはワコールの人気ブランドSalute のキャミソールを衣装として身につける。
『プティ・バロッコ』衣装 ©K-BALLET COMPANY
男性に媚びない、あるがままの女性の自信、プライド、美しさ。そういうものを強く感じた。
パフォーマンス終了後、渡辺は「心を開いて見てほしい」と言った。それは普段バレエを見るが、コンテンポラリー・ダンスは見ない人へ向けた言葉だ。バレエを踊るときとは異なり、ダンサー自身の姿を知ることになるコンテンポラリー・ダンスは、先入観を持たずに見た方が楽しさ、発見があるからだ。
公演には、プリンシパル、ファーストソリストが多数出演する。古典バレエの公演で一度にプリンシパルが何名も出演することはそうそうない。そう考えるといかに真剣にK-BALLETのダンサーたちが取り組んでいるかがわかるだろう。これはもう実際に見て確かめてみるに限る。
K-BALLET Opto『プティ・コレクション』
9月30日(金)、10月1日(土)
会場:KAAT神奈川芸術劇場
開演:両日12時30分、17時30分
★ チケット料金
3000円〜9000円
詳しくは:Bunkamura
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