E・T・A・ホフマン『くるみ割り人形とねずみの王さま』 小説を彩るクラシック#9
チャイコフスキー三大バレエの原作!
ディズニーの実写映画化やアニメ『PSYCHO-PASS(サイコパス)』でも話題
E・T・A・ホフマン『くるみ割り人形とねずみの王さま』
法律家であり、詩人であり、作家であり、作曲家でもあった多才なアーティスト、エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン。
法律家の家系に生まれ、自身も法律の世界へ進むための勉強に励んでいたホフマンは、その傍らで絵画や詩作、音楽に傾倒していき、音楽家になる夢を抱くようになります。
ホフマンの肖像画と自画像
出典:Wikimedia Commons
とくにモーツァルトへの傾倒は深く、自分の本名エルンスト・テオドール・ヴィルヘルム・ホフマンのヴィルヘルムをアマデウスに変え、通名として創作を行うようになります。
音楽面での活動では、バンベルク劇場音楽監督、ライプツィヒ・ドレスデン巡回オペラ団の指揮者。また、ピアノ曲や室内楽曲、オペラの作曲などがあり、オペラ『ウンディーネ』がベルリン王立劇場で初演されると絶賛に近い評価を受け、ホフマンに名声をもたらします。
文学面においては、シューマンに影響を与えた音楽論集『クライスレリアーナ』や、バルザック、ユゴー、ジョルジュ・サンド、ドストエフスキー、エドガー・アラン・ポーに影響を与えた幻想文学の数々があります。
左:ホフマンのスケッチしたクライスレリアーナ(ヨハネス・クライスラー楽長)。ホフマンの作品にしばしば登場する作者の分身的なキャラクター。
右:カロ風幻想作品集 1819改訂版
出典:Wikimedia Commons
このように多才なホフマンですが、最も有名な作品は、チャイコフスキーのバレエ『くるみ割り人形』の原作『くるみ割り人形とねずみの王さま』ではないでしょうか。
『くるみ割り人形とねずみの王さま』
クリスマス・シーズンとなると世界中の劇場で上演されるチャイコフスキーの『くるみ割り人形』。
バレエは観たことがなくとも、組曲の「金平糖の踊り」や「花のワルツ」を耳にしたことがある方は多いと思います。
この原作である『くるみ割り人形とねずみの王さま』ですが、バレエ作品といくつかの相違点があります。
主人公の女の子の名前がバレエでは”クララ”なのに対して、原作では”マリー”(クララはマリーがプレゼントにもらう人形の名前)であったり、結末や物語の過程も微妙に異なり、バレエにおいては、原作の複雑な構造が簡略化され、伝わりやすいようになっています。
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