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プレビュー:東京バレエ団『ロミオとジュリエット』2024年5月24日(金)~26日(日),6月7日(金)~9日(日) 東京文化会館

2024年5月24日(金)〜26日(日)6月7日(金)~9日(日)
東京バレエ団

ロミオとジュリエット

創立60周年記念公演の第6弾
バレエでドラマを紡ぐクランコ版『ロミオとジュリエット』

ジョン・クランコ版『ロミオとジュリエット』をレパートリーに持つ唯一の日本のカンパニー

『ロミオとジュリエット』はバレエの題材として人気が高く、たくさんの振付家が創作しています。20世紀になってからは、プロコフィエフの音楽でニジンスカ=バランシン版がディアギレフ・ロシア・バレエ団によって1926年に初演され、以後、プロコフィエフの音楽を使用したさまざまな版が登場します。

シュツットガルト・バレエ団の芸術監督であるジョン・クランコは「シュツットガルトの奇跡」と呼ばれる、短期間でカンパニーを世界のトップカンパニーに上りつめることを実現させた伝説の持ち主。最初の成功が、当時クランコのミューズだったマリシア・ハイデを起用した『ロミオとジュリエット』でした。

クランコはケネス・マクミラン、ジョン・ノイマイヤーと並び、ドラマティック・バレエと言われる20世紀後半に登場した新しいバレエの傑作を世に出した振付家です。

東京バレエ団はクランコの『オネーギン』をレパートリーにもつ唯一の日本のカンパニーです。クランコのバレエを熟知した東京バレエ団、一昨年新たにクランコの『ロミオとジュリエット』を初演し大成功させました。今回、早くも再演されることになりました。

バレエだからこその感情表現を楽しむ

クランコ版の『ロミオとジュリエット』では、登場人物が本当に今、ここにいるかのように生き生きとしています。ひとことも語らないのが不思議なくらい、彼らの感情が伝わってくるのです。ドラマティック・バレエはマイムもほとんど使用せずに、顔の表情と全身とで心情を表現します。特に男女二人で踊るパ・ド・ドゥは感情が溢れ出ており、超絶技巧の連続です。ダンスの技術だけではなく表現力も備えたダンサーでないと実現できません。音楽、演劇、さまざまな表現手段がありますが、「バレエ」にしかできない表現に観る者は圧倒されるのです。

クランコの描く登場人物たちはとてもまっすぐでロマンティック。存在感を強める躍動感と共に彼らにはあたたかみもあります。登場人物たちにどんどん引き込まれていく魔力があるのです。

物語の説得力を引き出す
ユルゲン・ローゼの美術と衣裳

代表的なドラマティック・バレエ作品に欠かせない人物がいます。舞台美術家のユルゲン・ローゼです。ノイマイヤーの『椿姫』、マクミランの『コンチェルト』、そしてクランコの『ロミオとジュリエット』『オネーギン』など、歴史に残る傑作を手がけています。

機能的で、空間を存分に使い、とびきり美しい彼の舞台美術は作品に多大な貢献をしています。

クランコ版『ロミオとジュリエット』では、舞台奥にアーチが連なる回廊が置かれています。ほぼ全編このアーチは使用され、舞踏会の場面や町の風景としても使用されます。バルコニーのシーンでももちろん使用されており、場面転換することなくスピーディに、そして巧みに物語が展開していきます。

ぜひこのアーチの回廊がどのように使用されているか注目してください。

創立60周年にふさわしく3キャスト6公演という贅沢

3キャストは鉄板の沖香菜子&柄本弾、愛らしい足立真里亜&ジェントルな池本祥真、勢いに乗る秋山瑛&大塚卓という顔ぶれ。どのペアもそれぞれの世界観を作り出せる強力な組み合わせです。彼らが2回ずつ出演します。さらにこの作品は主役以外のキャラクターも大変魅力的。じっくりキャストを調べて見比べてみましょう。

Photo by Shoko Matsuhashi


2024年5月24日(金)〜26日(日)6月7日(金)~9日(日)
東京バレエ団『ロミオとジュリエット』
会場:東京文化会館

開演
5月24日(金) 18:30 
25日(土)14:00
26日(日) 14:00
6月7日(金)18:30
8日(土)14:00
9日(日)14:00
チケット料金
14,500円〜3,000円

詳しくは:NBS



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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