ジャン・コクトー『雄鶏とアルルカン』×エリック・サティ『パラード』小説を彩るクラシック#19

エリック・サティ『パラード』

タイトルの『パラード』とは、「劇場の客寄せで見せる余興」を意味しています。サティの『梨の形をした曲』を聴いて着想を得たコクトーは1915年、所属していた軍隊の休暇中に『パラード』のあらすじを一気に書き上げました。
Costumes du ballet Parade (Les Ballets russes, Opéra) (4555465155)
この作品では、ピカソが考案したキュビズム風の衣装を着た呼び込みの支配人や、芸を披露する中国人、アメリカの少女、滑稽な動きを見せる馬、と、ユニークなキャラクターたちが見世物小屋を舞台に芸を披露します。
サティの音楽は素朴でもあり、楽しくもあり、タイプライターの音や、サイレンやピストルの発砲等のノイズも取り入れたエキセントリックなもので『パラード』の特異さを際立たせます。

大衆演芸とバレエというある種、反発しあう要素を組み合わせた実験的なこの演目は、ストラヴィンスキーの『春の祭典』以来の歴史的スキャンダルになりました。

1982年、福島県生まれ。音楽、文学ライター。 十代から音楽活動を始め、クラシック、ジャズ、ロックを愛聴する。 杉並区在住。東京ヤクルトスワローズが好き。

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