ウクライナの小説家ブルガーコフ『運命の卵』×チャイコフスキー オペラ『スペードの女王』、『エヴゲーニイ・オネーギン』~小説を彩るクラシック#23

『運命の卵』に悪人といえる悪人は出てきません。登場人物たちは運命に翻弄されただけのように思えます。
まるでブルガーコフは、ソビエト連邦がどういう運命を辿るのかを予期していたかのようです。
出典:Wikimedia Commons
赤色光線によって生み出された邪悪な怪物というのはおそらく「赤軍」の比喩なのでしょう。
自分の意思ではコントロールできない様をブルガーコフは風刺として描きました。
この物語に救いのようなものはあまりありませんが、音楽が流れるシーンだけは、美しく書かれています。
「消えていく……消えていく……」
フルートは高く響き、トリルし、嘆き悲しむように歌った。
このシーンにブルガーコフの人間という存在への切ない願いを聴くことができないでしょうか。
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参考文献
ミハイル・ブルガーコフ(2015年)
『犬の心臓・運命の卵』
増本浩子/ヴァレリー・グレチュコ訳 新潮文庫
小説を彩るクラシック
ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』
ブルガーコフ『犬の心臓』
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