最後のロマンティック・バレエ『コッペリア』について解説|23年2月に新国立劇場バレエ団が上演予定
6. バレエ『コッペリア』の見どころ・人気の場面
バレエ『コッペリア』の見どころや人気の場面を紹介します。
『コッペリア』は、見ているこちらまで踊りたくなってしまう明るくて楽しいシーンばかりです。
6.1
第1幕 スワニルダのバリエーション
第1幕 スワニルダのバリエーション
こちらは第1幕の冒頭で踊られるスワニルダのバリエーション(仏:バリアシオン、ソロの踊り)です。
全幕作品の場合は、スワニルダが家から登場してすぐにこの踊りを踊ります。
コンクールでも非常に人気の踊りで、コッペリアに手を振って、反応のなさに「あれっ?」という演技をするなど、1曲の中に踊りと演技のシーンが入っているのも特徴です。
なお、上記の動画は、現在英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルであるマヤラ・マグリのローザンヌ国際コンクールでの踊りです。
6.2
マズルカ
マズルカ
村の人々によって踊られるマズルカも明るくて盛り上がるシーンです。
マズルカとは、ポーランドの民族舞踊の1つで、4分の3拍子を基本としています。トゥシューズやバレエシューズではなく、女性も男性もブーツを履いて踊るのが特徴です。
『白鳥の湖』第3幕や『眠れる森の美女』第3幕でもマズルカが登場します。
6.3
第1幕 麦の穂のアダージオ
第1幕 麦の穂のアダージオ
麦の穂のアダージオは「麦の穂が鳴ると恋が成就する」という言い伝えを聞いたスワニルダがフランツとの相性を占おうと2人で踊るシーンです。
速いテンポが多い『コッペリア』ですが、このアダージオ(スローテンポな曲と踊り)では、スワニルダとフランツが麦の穂を鳴らしながらゆっくりと踊ります。
バイオリンの音色が、なかなか噛み合わないスワニルダとフランツの様子を表しているようです。
6.4
第1幕 チャールダーシュ(チャルダッシュ)
第1幕 チャールダーシュ(チャルダッシュ)
村の人々によって踊られるチャールダーシュ(チャルダッシュ)は、ハンガリーの踊りです。
ゆっくり始まり、だんだんと速くなり、最後はさらに速いテンポで終わります。
マズルカ同様、男女ともにブーツを履いて踊り、かかとを打ち鳴らすような動きをするのが特徴です。
『白鳥の湖』第3幕や『ライモンダ』第3幕でもチャールダーシュが登場します。
6.5
第2幕 コッペリアのふりをするスワニルダ
第2幕 コッペリアのふりをするスワニルダ
こちらは第2幕、コッペリウス邸に忍び込んだスワニルダが逃げ遅れて、コッペリアになりすますシーンです。
音楽に合わせて、カクカクと手足を動かしたり、目をパチパチさせたりします。
第2幕で繰り広げられる「コッペリアのふりをするシーン」の中でも一番最初のシーンであるため、動きは固くて少なく、人形のカクカク感を見事に表現しています。
ダンサーは、なるべくまばたきをせず、首や肩を硬直させるなど、通常のバレエの姿勢とは違った努力が必要になるシーンです。
6.6
第2幕 スワニルダ扮するコッペリアのスパニッシュダンス
第2幕 スワニルダ扮するコッペリアのスパニッシュダンス
こちらは、コッペリウスの呪文の効果が進み(進んだふり)、スワニルダ扮するコッペリアがなめらかに踊っているシーンです。
扇子を持ってスパニッシュダンスを踊っています。コッペリアが人間になったと信じているコッペリウスはスワニルダが踊る元気いっぱいなこの踊りを見て大喜びです。
このシーンでは「ボレロ」と呼ばれるスペインまたはキューバを起源とした3拍子の音楽が使われています。
6.7
第3幕 ディヴェルティスマン
第3幕 ディヴェルティスマン
第3幕は、村の人々によるディヴェルティスマンが続きます。ディヴェルティスマンとは、物語の本筋には関係のない饗宴的な踊りのことです。
「時のワルツ」「あけぼの」「祈り」「仕事」「結婚」「戦い」「平和」など、人生をたどる踊りの数々が披露されます。
中でも見どころは、スワニルダとフランツが踊る「平和」のパ・ド・ドゥです。
バイオリンの音色に乗せて、スワニルダとフランツがゆっくりと幸せそうに踊ります。
第3幕は領主が新しい鐘を寄贈したお祝いの祭りのシーンですが、この平和のパ・ド・ドゥはスワニルダたちの結婚式としての役割も果たしています。
▼ 英国ロイヤルバレエ団のマリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフによる平和のパ・ド・ドゥ
7. 2023年2月 新国立劇場バレエ団がローラン・プティ版『コッペリア』を上演
2023年2月に新国立劇場バレエ団にて、ローラン・プティ版の『コッペリア』が上演される予定です。
▼ 公演日程と予定キャスト ※キャスト変更(2/23更新)
詳しくは:新国立劇場バレエ団
新国立劇場バレエ団のプティ版『コッペリア』は2021年5月にも上演されました。
2021年の公演は、感染症対策により劇場での公演が中止となりましたが、それに伴って行われた無料配信では累計16万7000人が視聴し、上演するバレエ団が少ないプティ版『コッペリア』を存分に楽しめる時間となりました。
ぜひ今回は、劇場に足を運び、その目でプティ版『コッペリア』を楽しんでみてはいかがでしょうか。
8. まとめ
最後のロマンティック・バレエといわれる『コッペリア』のストーリーや見どころ、演出の違いについて解説しました。
『コッペリア』は、人形に恋をするというちょっと変わった設定ですが、明るくコメディに描かれており、誰もが楽しく観られる作品です。
2023年2月には新国立劇場バレエ団によるプティ版『コッペリア』が上演予定。このプティ版は従来とは一風変わったおしゃれな演出で、ラストシーンもほろ苦く、「明るく楽しいコッペリア」とはひと味違います。
ぜひ劇場に足を運び、プティ版『コッペリア』を楽しんでみてください。
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