森絵都『子供は眠る ロベルト・シューマン〈子供の情景〉より』~小説を彩るクラシック#25
ストーリー
「七月のカレンダーをビリリとやぶって、今年も、再会の夏が来た」
このような出だしで始まる『子供は眠る』
物語の登場人物は、主人公の「ぼく(恭)」、智明、ナス、じゃがまる、章(あきら)、いとこ同士のこの五人が、章の別荘で過ごす一夏を描いた作品です。
登場人物
ぼく(中2)
智明(中2)
ナス(中1)
じゃがまる(小4)
章(中3)
少年たちは、章の別荘で夏休みを過ごすことが習わしとなっていて、今年も関東のあちこちから海辺の別荘にやってきます。
別荘でのスケジュールは章が仕切っていて、起床は朝の7時。7時半からダイニングで食事。8時から9時までは掃除や洗濯。そのあとは30分の休憩を挟んで昼食の12時までみっちり勉強……このように章が決めたカリキュラム通り厳格に行われます。
息のつまるような夏休みに思われますが、彼らは年長の章に従うのは当然と思っており、少年たちはそれなりに楽しく合宿生活を過ごします。
ですが、唯一耐えられない恒例行事があります。それは毎晩10時に行われるクラシック・アワー。
章がチョイスするクラシックのレコードをとことん聴き続けるという、少年たちにとっては苦痛の時間です。
去年はメンデルスゾーンの『無言歌集』
一昨年はモーツァルトの『ピアノソナタ第11番』
今年、章が選んだレコードはシューマンの『子供の情景』でした。
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