2022年10月29日(土)神奈川フィルハーモニー管弦楽団:沼尻竜典指揮『横浜みなとみらいホールリニューアル記念事業』横浜みなとみらいホール 大ホール
2022年10月29日(土)
横浜みなとみらいホールリニューアル記念事業
沼尻竜典指揮:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
横浜みなとみらいホール
新たなスタートは神奈川フィルと共に華やかに
リニューアルして最初の公演
改修工事を終えて、横浜みなとみらいホールがいよいよリニューアルオープンします。豪華なリニューアル記念事業が発表されましたが、そのオープニングを飾るのが沼尻竜典率いる神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会です。
演奏されるのは、ヤン・ヴァンデルローストによる『横浜音祭りファンファーレ』に続き、三善晃の管弦楽のための交響詩『連禱富士』、R.シュトラウスの『アルプス交響曲』という描写音楽の作品です。
『連禱富士』はテレビ静岡の開局20周年を記念して委嘱された作品。1988年に初演されました。優美な富士山というより、美しさに潜む山の険しさ、ストイックな峻厳さを感じさせる作品です。そして『アルプス交響曲』は演奏の機会が決して多いというわけではない、非常にスケールが大きくユニークな作品です。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団©︎青柳聡
いろいろな意味でレアな『アルプス交響曲』
『アルプス交響曲』は、1915年10月にベルリンのフィルハーモニーホールにてドレスデン宮廷楽団の演奏、R.シュトラウス自身の指揮により初演されました。第一次世界大戦下のことです。ドレスデンに楽曲に見合うオルガンがなかったためにベルリンで上演したのでした。この作品は、夜明け前から日没までアルプスの大自然の情景を描いており、まるでドキュメンタリー映画を見ているような風景が広がります。1楽章構成で切れ間なく音楽は続き、時間の経過とともに、「山の牧場」「頂上にて」「雷雨と嵐」というように22のシーンが描かれます。
上演には120名ほどの演奏者を必要とし、さらにオルガンはもちろん、珍しい楽器が必要とされます。カウベルなどはまだ序の口、打楽器のサンダーマシーン(鉄板、雷鳴担当)、ウィンドマシーン(風の効果音担当)、ヘッケルフォン(ワーグナー発案、バスオーボエの一種)、ワーグナーテューバ(スコア上はテナーテューバ)などです。またバンダ(ホルン、トランペット、トロンボーン)もばっちり舞台裏に控えています。この大所帯の楽器たちに、R.シュトラウスはアルプスの景色を見ながら書いたのではと思えるような素晴らしいオーケストレーションを施しています。
しかしどんなに楽譜上は素晴らしくても実際にそれを現実の音にするのは至難の業。ここでマエストロ沼尻の手腕が発揮されるわけです。これだけの音の洪水をコントロールして的確に表現し、観客を魅了するのは大変なことです。神奈川フィルのメンバーも楽しみにしているに違いありません。
現代では、テクノロジーを駆使してさまざまな効果音などたちまち作れるし、音の厚み、音量、音域もいかようにもコントロールできます。けれども大人数の一人ひとりが指揮者のタクトによって奏でる生の音、生きている音をイヤホンではなく身体中に浴びる体験は、快感に止まらず、深い感動へと導いてくれます。
横浜みなとみらいホールの隅々にまで響き渡る豊穣な音。久しぶりに音で満たされるホールで、演奏の機会の少ないこの曲を聴くことができるのは大変な幸せです。
海の見えるホールで山を描写した音楽を聴き雄大な自然を感じる……贅沢な時間を過ごせそうです。
指揮:沼尻竜典©︎藤本史昭
横浜みなとみらいホールリニューアル記念事業
2022年10月29日(土)
会場:横浜みなとみらいホール 大ホール
開演: 15:00
★チケット料金
4000円〜7500円
詳しくは:横浜みなとみらいホール
この記事へのコメントはありません。