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プレビュー:7月7日(金)公開〜映画『フィガロの結婚』英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23 TOHOシネマズ日本橋、ほか全国公開

2023年7月7日(金)〜13(木)
英国ロイヤル・オペラ・ハウス
シネマシーズン2022/23

『フィガロの結婚』

『フィガロの結婚』の決定版。ドラマ、歌唱、舞台美術、音楽……すべてが極上

モーツァルトのオペラの中でも特に人気の高い『フィガロの結婚』

『フィガロの結婚』はモーツァルトのオペラの中でも大人気の作品です。原作者ボーマルシェが三部作として作ったお話のうちの一つで、ロッシーニがオペラ化した『セビリアの理髪師』のその後のエピソードが描かれます。

『セビリアの理髪師』でアルマヴィーヴァ伯爵の結婚のためにナイスな働きをしたフィガロが、めでたく自分も結婚することになります。アルマヴィーヴァ伯爵は、あれだけ熱愛だった伯爵夫人に対してすでに愛情は薄れ、飽きてしまっています。そして使用人であるフィガロの婚約者、スザンナに対してとっくに廃れたはずの君主の「初夜権」を行使しようと企みます。阻止しようと必死のフィガロ、伯爵を自分に振り向かせたい伯爵夫人、その他彼らを取り巻く多くの人たちの思惑が交錯してドタバタと大変な騒ぎが繰り広げられます。

男女のデリケートな心に秘めた想いを描く古くて新しい人間ドラマである『フィガロの結婚』は、いつの時代にも愛されるオペラの傑作なのです。

序曲からステージ上では、朝の邸宅で婚礼の準備が進められている……
作品を知り尽くした演出の巧みさ

このプロダクションは2006年に初演され、高い評価を得て再演を繰り返しています。演出のデヴィッド・マクヴィカーはテンポよく登場人物たちを生き生きと舞台上で動かします。丁々発止とやりとりする芝居のうまさで、アリアでは美しい歌唱で魅了する達者な歌手陣がマクヴィカーの演出に見事に応えて、とにかく楽しい! 

衣裳や舞台セット、部屋に差し込む日の光などの明るすぎないシックな色遣いにも脱帽です。

さらに指揮はアントニオ・パッパーノが務めており、英国ロイヤル・オペラのレベルの高さを見せつけてくれるのです。

イタリア人メインのキャストも絶妙

機転の効く賢いスザンナは、ジュリア・セメンツァートが歌います。彼女はまだ若く、フィガロ役のリッカルド・ファッシとともに、演じる人物との年齢がシンクロしており、とても納得がいきます。この演じる役と実年齢が近いというのは案外重要で、彼らは変に騒ぎ立てることなく、とにかく無事に自分たちの結婚をなし遂げることに向かって行動します。とてもリアルで真に迫っています。

結果的に滑稽で風刺の的となるアルマヴィーヴァ伯爵を演じるフィデリカ・ロンバルディも、変に滑稽さを誇張することなく無茶振りを連発する伯爵を好演。そしてなんといっても伯爵夫人のフェデリカ・ロンバルディ(彼女も若い)が抑えた演技で圧巻、カーテンコールではひときわ盛大な拍手を得ていました。第2幕「愛の神よ、安らぎを与えたまえ」、第3幕「楽しい思い出はどこへ」のアリアと、第3幕スザンナとの「手紙の二重唱」(映画『ショーシャンクの空に』で主人公が刑務所中に響きわたらせた曲)は本当に素晴らしく、必聴です。

いつでも新しく深く感動する『フィガロの結婚』。時代をこえ生き続けるクラシック音楽の楽しみの原点があります。

「初めてのオペラ」にこのプロダクションを選ばれたなら、以後、確実にオペラ・ファンになってしまうことでしょう。

メイン画像|© The Royal Opera, 2021. Photos by Clive Barda


2023年7月7日(金)〜13日(木)
英国ロイヤル・オペラ・ハウス『フィガロの結婚』
会場:TOHOシネマズ日本橋、ほか全国公開

開演:劇場による

チケット料金
一般・シニア 3,700円
学生・小人 2,500円

詳しくは:東宝東和



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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