ヴェルディ渾身の人間ドラマ、オペラ『リゴレット』~あらすじや曲を紹介~
オペラ『リゴレット』は、イタリア・オペラの巨匠ヴェルディの代表作!
『リゴレット』は、華々しい英雄劇や美しい純愛物語ではありません。欲望、恨み、嫉妬、誰の中にもあるさまざまな感情を描き出す、リアルな人間ドラマです。だからこそ登場人物に共感しやすく、初めてオペラを観る人でも深く物語の世界に没入することができます。
劇中のテノールのアリア「女心の歌」は、どこかで聞いたことがある有名曲!オペラ終盤で歌われますので、お楽しみに!
直近では、5月18日(木)~6月3日(土)に、新国立劇場オペラの公演が予定されています。
タイトル画像:リコルディ社1852年出版のヴォーカルスコア、第3幕四重唱シーンのイラスト
1.オペラ『リゴレット』とは?
オペラ『リゴレット』初演時のポスター
オペラ『リゴレット』は、ヴェルディの「中期三大傑作」と言われる1作目。その後も『イル・トロヴァトーレ』、『椿姫』とヒット作を生み出した円熟期の代表作です。
感情表現に富み劇的効果に優れるヴェルディの音楽と、息もつかせぬストーリー展開。衝撃のラストは、幕が下がりきっても呆然自失の状態から抜け出せなくなるほどです。
原作は、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの戯曲『王は楽しむ』。本国フランスでたった1回の上演で禁止になった、いわくつきの問題作でした。『リゴレット』は、検閲との戦いも覚悟の上で世に出したヴェルディの意欲作です!
リゴレット|Rigoletto
1-1. オペラ『リゴレット』先読みあらすじ
「宮廷道化師」ウィリアム・メリット・チェイス画、1875年
16世紀、北イタリアのマントヴァ。好色で放蕩者の領主マントヴァ公爵の宮廷に仕える道化師のリゴレットは、背中に大きなこぶがある醜い容姿と辛辣な物言いで廷臣たちから嫌われていました。
リゴレットには、溺愛するジルダという一人娘がいました。マントヴァ公爵や廷臣たちに見つかることを恐れて隠し育てていましたが、父の思いも空しくジルダは公爵に恋をしてしまいます。
一方、廷臣たちはジルダをリゴレットの愛人だと思い込み、ジルダをさらって公爵に献上してしまいます。愛娘を凌辱され、怒りに燃えるリゴレット。公爵への復讐のため殺し屋を雇います。
公爵への思いを捨てきれないジルダ。父の復讐計画を知ると、公爵の身代わりとなって刺し殺されてしまいます。殺し屋から遺体袋を受け取り、嬉々として開けようとするリゴレットの耳に、公爵の歌声が・・・。
遺体袋から現われたのは、瀕死のジルダでした。ジルダは父の腕の中で、許しを乞いながら息絶えます。
2.オペラ『リゴレット』の登場人物
マントヴァ公爵に仕える宮廷道化師、背中に大きなこぶがある
放蕩三昧のマントヴァ領主
リゴレットの一人娘
殺し屋
スパラフチーレの妹
老伯爵、娘を公爵にもてあそばれて激怒
ジルダの乳母
画像|出典:Wikimedia Commons
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