チャールズ・ブコウスキー『死をポケットに入れて』 作家とクラシック音楽の関係〜 小説を彩るクラシック#8
チャールズ・ブコウスキー
『死をポケットに入れて』
作家チャールズ・ブコウスキーから連想されるものといえば「酒好き」「女好き」「ギャンブル好き」こういったタフでマッチョな無頼漢的イメージではないでしょうか。
『勝手に生きろ!』『くそったれ! 少年時代』『パンク、ハリウッドを行く』
このように、ブコウスキーの作品名を並べてみるだけでも、アカデミックな世界とは程遠いワイルドな印象を感じさせます。
ブコウスキーは「いわゆる文学的」な書き方をしません。風景描写や、回りくどい言い回しはほとんどなく、率直な言葉を綴ります。その歯に衣着せぬ剥き出しの文体は、ときに辛辣に、ときにハッとさせられ、読者の心をストレートに打ちます。
反骨精神をもったスタイルの作家なので、ロックバンドU2のボノや、酔いどれ詩人、シンガーソングライターのトム・ウェイツがファンを公言するなど、ロック界から熱い支持を受けています。
そんなロック的な作家であるブコウスキーですが、自身はロックに関心はなく、聴くのはもっぱらクラシック音楽だ、というから驚きです。
こんなエピソードがあります。
ある大物ロックミュージシャンの好意で、ブコウスキーと妻のリンダは、ドジャースタジアムで行われるコンサートに招待されました。
25000人の聴衆が熱狂する中、ロックバンドのリーダーは、「このコンサートをリンダとチャールズ・ブコウスキーに捧げます」とアナウンスをし、観客は大歓声。
コンサートの後は、映画界の大物たちとVIPのバーで無料のカクテルを飲み、ロックスターや業界の人たちと語り、リムジンで家に送り届けられました。
この晩を振り返ってブコウスキーは、
「大成功した金持ちグループが、何を歌っていても(親や体制に反対する歌を歌っていても)自分たちが体制になってしまっているじゃないか」
「妻が望むからロック・ショウを観に行ったのであって、自分のふさわしい場所ではなかった」
と感じたそうです。
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